篠山紀信 vs. 横尾忠則
1968年の三島由紀夫にはじまり、1970年代半ばまで。嵐寛寿郎、高倉健、鶴田浩二、手塚治虫、美輪明宏、深沢七郎、浅丘ルリ子、瀬戸内寂聴、唐十郎、カルロス・サンタナやポール・デイビスなど、横尾忠則が憧れた映画スターや作家、デザイナーなどと共演(?)した篠山紀信による写真集『記憶の遠近術』から、約70点が展示されている。
共演相手に合わせたコスプレやキャラクター性の強調など、人物はもちろん撮影の場そのものも演出して作り上げた独自のYOKOO-KISHINワールド。人選も春川ますみや横山隆一、柴田錬三郎、川上哲治と大下弘など横尾さんの世界観がムンムンと漂っている。しかもその時代の空気が生々しくよみがえってくる見事な人選だ。懐かしさと危なっかしさの共存。甘いようで鼻にツンとくる感覚。同時代を生きた団塊より上の世代にはたまらない。
その後に撮影された数点は、横尾さんのアトリエの『シノラマ』や家族の肖像。こうやって見てくると、この展覧会は横尾忠則という天才の生き様と交友関係を通して、ある時代の日本を切り取って私たちの目の前に差し出してくれたようなもの。若い人たちには父親母親、もしかしたら祖父母の時代がどんなものだったのか、「三丁目の夕日」よりもう少し後の、もう少しビターな切り口を味わって欲しいと願います。そして横尾忠則や篠山紀信が大先生になる前の、情熱とエネルギーと狂気を感じてみてください。
記憶の遠近術
篠山紀信、横尾忠則を撮る
横尾忠則現代美術館
2014年10月11日(土)~2015年1月4日(日)
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