角文平がつくった熊の森
角文平さんのアート作品『熊の森』の説明文です。
「木彫りの熊」はかつて北海道の代表的なお土産として大量に作られていました。最近は、不要になった「木彫りの熊」をネットオークションに出品する人が多く、作者はそのような彫刻を入手して、この作品を作りました。作られた際の役目を終えた彫刻たちは、彫刻になる前の姿である木として土に立っていたころの記憶を、ここ六甲山で取り戻すのです。しかし、彫刻は元の姿に戻ることはなく、熊の形のまま新たな芽が生えています。
六甲オルゴールミュージアムの庭の奥に、小さなガラスの温室がある。この中に植えられているのは、なんと!いっぱいの熊の置き物。サケを咥えているヤツ、いないヤツ、ひと昔前はどこの家にもありましたねぇ。アーティストの角文平さんは、この熊に目を付けた。ただ並べるだけではオモシロくないから、木彫りの熊から芽を出させてしまった。こうすることによって大量生産、大量消費の20世紀に対する文明批評、かつまた森や野生動物に対する自然保護の視点を持つアート作品に変身しました。
「集める」や「繰り返す」は現代アートの重要な語法のひとつ。あとはどのような要素を加えるかによって、作品の良さが決まる。今回は木彫りの彫刻である熊の体から、青々とした立派な双葉がニョキニョキと生えてきている、という表現がとても秀逸だ。木彫だから木の新芽、という距離感も程よい。うまくまとまったいい作品だと思います。今年もクマの被害が多かったなぁ、山ではエサになる木の実が少なかったのかなぁ、などとイメージがどんどんふくらんできますね。
六甲ミーツ・アート 2014
2014年9月13日(土)~11月24日(月・祝)
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