マッラーディの栗まつり
フィレンツェからファエンツァ行の列車で1時間20分ぐらい、トスカーナ北東部の山の中の小さな村がマッラーディ。ここで10月の毎日曜日、村を挙げての栗まつりが開催されます。
列車の乗客はほとんどがここの駅で降りる。普段は静かなこの村が、大賑わいを見せる栗まつり、今年で51回目だそうだ。
いろんな種類の栗をはじめ地元で採れた果物、野菜、ハチミツ、チーズ、ハム、ソーセージ、ワインなどの露店がずらり。食品だけではなく、台所道具や子供のおもちゃ、洋服から栗の木を使った家具やアンティークを扱う店まで。これらの店の広がりをみると、観光客を相手にするだけの祭りではなく、地元の人々も毎年楽しみにしていることがよくわかる。
いっぱい並ぶ焼き栗屋さんも、回転する機械を使ったり昔ながらの鍋をあおったり、さまざまな焼き方で味を競う。またマロングラッセのような栗そのもののカタチを生かしたお菓子や栗粉を使ったケーキなど、いかにも手作りという感じの素朴な味。トスカーナの秋を実感する。
お菓子の名前を挙げるとクッキーの上にマロングラッセをのせたようなバルチェッテ・ディ・マローニ、典型的な栗のケーのトルタ・ディ・マローニ、パスタ皮で栗クリームを包み込んだトルテッリ・ディ・マローニ、栗粉をバターやミルクで練ったものを揚げたフリッテッレ・ディ・ファリーナ・ディ・マリーニ。串に5粒刺してキャラメルを塗った、まるで「みたらし」のようなものも。
いずれも有名パティシエが作るような洗練はないが、素材の良さがしみじみと伝わってくる。
昼食は地元のテニスクラブが栗まつりのときだけ開いている大食堂でいただく。この村にあるレストランやカフェだけでは祭りに押し寄せる観光客はとても収容できないだろう。
だから、このときとばかりクラブ会員が総出でオモテナシ。小学生ぐらいの子供たちまでお手伝いです。みんなおそろいのTシャツでかいがいしく働いていて、見ていてとても気持ちがいい。料理もキノコやイノシシなど、地元の名産がふんだんに使われた家庭料理。マンマの味だ。
おいしいだけではなくお値段も手ごろだし、なにより一生懸命さがいい。店の飾りつけも手作り、薪で肉を焼く人、キャッシャーでお金を扱う人、英語で案内をする人、それぞれ自分のできることを分担して、多くのお客さんを迎えている。おすすめです。
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