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2014年9月26日 (金)

高谷敏正さんの『陶』展

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 『陶器』ではなく『陶』の展覧会である。いま神戸のGYALLERY北野坂で開催中の展覧会。『器』という字は、陶器、漆器、紙器、ガラス器など素材から使われる場合もあれば、食器、花器、酒器、なかには凶器なんてまがまがしいものまで、使い道で呼ぶ言い方もある。いずれにしても『器』というのはモノの役に立つ道具をいう。それから発展して、はたらきや才能を表す意味が出てきたはずだ。大器晩成などという使い方がそれです。

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 それはさておき、高谷さんが自分の個展を『陶器』展と名乗らず、『陶』展としたのは「生活の役に立つ道具」というには自分の制作哲学が違うところまで来てしまったからだろうと思う。もちろん役に立つ器を否定するのではなく、それよりも美しい、オモシロイを優先したほうが自分の意識に正直だ、と良い意味で開き直ったのでしょう。その結果、それがちゃんとアート作品になり、公募展に出品すれば必ず大きな賞をもらう、使える器も個性があふれ出る、という好循環になっている。どのジャンルでも勢いがある、乗っているというのはこんなことかもしれません。

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 もともと、建築家である彼が作る陶器作品は一般的な陶芸家の作品とは、まったく別物だ。作り方もおもしろい。まずイメージを設計図に書いて、それから作り始める。だから作り出す作品も、構築的なのだ。それこそ幾何学などを駆使して造形する。そしてそれを実現するための方法論を工夫して、新たに技術を発明しながら作り上げる。なかなか大変なことだと思う。しかし大変なことをしているんだぞ、というような気負いはまったくなく、むしろひょうひょうとしたユーモアを感じる。自分自身に自信を持っているからこその余裕の作風だ。
 「過去の名品を見るのも好きで、いいなと思うのも数多い。でもそれを目指したり似たものを作ろうとは一切思わない。常に今までになかったものを作ろうと考えています」という彼は、生粋のクリエーターなのでしょう。

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 曲線の美しいもの、直線の組み合わせが力強いもの、なにかヨーロッパ中世の城壁都市のようなもの、まるで年季を経た木材のような質感、思いがけない色の変化・・・。陶芸というのは「用の美」という言葉に代表されるように、「役に立つ」器を前提としてきた伝統の世界に、彼は新しい自由の風を吹かすチャレンジをしているのだ。観る側のイマジネーションに挑戦するような、と言って軽々しくオブジェなどと呼べない奥深く刺激的な世界を作り上げる彼の『陶』。機会があれば、ぜひこの世界に浸ってみてください。

高谷敏正 陶展

2014年9月23日(火)~28日(日)
GALLERY 北野坂
神戸市中央区山本通 1-7-17

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