升本真理子さんのSPROUT
切られても、踏まれても、捨てられても、その一部だけでも残っていれば、また新しく芽生え成長する野菜。まるで、どんな境遇にあっても生き抜こうとする強い意志があるかのようで、涙が出るほど感動します。クズ野菜(もうこれからはクズなどと呼べなくなります)の切れ端から新しい芽を出した作品シリーズ、升本真理子さん撮影の『SPROUTー 萌芽』展が、西梅田のブリーゼブリーゼで始まっています。タマネギから、ジャガイモから、キャベツから、ニンニクから、サツマイモから、ニンジンから・・・。毎日食べている野菜が、こんなにたくましい生命力を持ち、しかもここまで美しいなんて。驚きです。
新しい命の芽生えを台所で撮っても、きっとこんなにはインパクトはなかっただろう。屋外に持ち出して、ビル群や港など人工の建造物や都市の景観をバックに撮影したからこそ、これらの作品は説得力を持ちえたのでしょう。季節の桜や雪を背景に撮影したからこそ、これらの作品は観る人の想いをすくい上げることができたのでしょう。
ジャガイモは哲学者の風貌で地球と人類の行く末を考えている。キャベツは春風駘蕩たる風情でその日その瞬間を精一杯生きようよと言っている。なのに私たち人間は、何を考え何を行動しているというのでしょうか。升本さんの野菜たちから教えられる思いです。
升本真理子 SPROUTー 萌芽
2014年7月13日(日)~7月23日(水)
大人のベルギービアガーデン
DOLPHINS
ブリーゼブリーゼ 1階
JR大阪駅桜橋口より徒歩5分
地下鉄西梅田駅より徒歩3分
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