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2014年7月 4日 (金)

感動、ビヨンド・ザ・エッジ

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 エベレスト初登頂を描いたドキュメンタリー映画「ビヨンド・ザ・エッジ」を観ました。北極、南極と並んで第三の極といわれた地球でいちばん高い場所は、人間を寄せ付けない未知の領域だった。その当時としては、後の月面着陸のようなインパクトがあったことでしょう。でも、なにを今さらという感はありました、観るまでは。ところが、すごく感動したのです。
 まさにその高度に達すると死ぬかもしれないという恐れと闘いながら、肉体の限界を超える冒険は、英国が国の威信をかけた政治的なプロジェクトでもあったのだ。初登頂の栄誉はニュージーランドから参加したヒラリーとシェルパ族のテムジンの二人に輝くが、そこに至るさまざまな精神の葛藤や人間ドラマを、事実に即しながらあえて淡々と描いている。ヒロイックに描かないからよけいこの冒険のすごさを際立たせている。生身の人間が神の領域、未知の世界に挑んだ記録。あくまでも記録としての表現。

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 1953年の出来事なので、たくさんの映像アーカイブや写真、インタビュー音声が残っているため、とてもリアルなドキュメンタリーになっている。再現映像も抑えた調子で、よくなじんでいる。酸素がうすい、寒い、風が強い・・・高所登山の過酷さは人間の存在を許さない神の領域。「8,000mを超えると人間は生存できない」という医学の専門家がいた時代。
 もうひとつ興味深かったのは、登山の装備。ハーネスもなく、手袋に至っては毛糸のニットだ。いま日本の中高年ハイカーや山ガールでも、ゴアテックスやダウンなどはるかに機能が充実した装備で身を固めているのに。わずか60年の間に服装や道具が急速に進歩したのだ、と驚かされる。
 ひとつの偉大な挑戦によって未知が解決され、道が切り開かれると、あとに続く人たちのトライはもう冒険ではなくスポーツやレジャーの範疇になる。その後エベレストでは「商業公募隊」が隆盛し、登頂者は4,000人を超えているという。隔世の感、とはまさにこのことではないでしょうか。

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