シュールハンズ・タナカの世界
西梅田ブリーゼブリーゼの1階吹き抜けで、いま開催しているのはシュールハンズ・タナカさんによる「Spiral 過ぎ行く時間と未来を見つめていた」展。たとえばタテ180×ヨコ300cmの大きな布にプリントした作品が、中央のツリーに巻きつけて展示されている。咲き乱れる花と一体になった美少女が、どんな手法で表現したらこうなるのか、夢の中の出来事のような不思議な魅力をたたえている。
この美的ワールドを理解する手だてとして、タナカさん自身が書いた企画の趣旨をご紹介しましょう。
「遠い青空を見ていると、安らぎと、その反面、焦りを感じる。
まるで飲み込まれる渦・・・その中から・・・未来を見つめた写真。
そのプリントの上からクレヨンとグアッシュとアクリル絵の具で絵を描き加え、
シュールな世界を創造した」
つまり自分自身で撮影した写真をプリントし、その上からペインティングする。とうぜん描き加えた完成形をイメージして撮影するので、写真家としてはかえって難しいかもしれない。写真家の習性として、無意識のうちに構図も、ピントも、絞りも、瞬時にパーフェクトな組み合わせを決める能力が身についている。サッカーのFWがシュートを打つときに似た瞬発力、これが勝負を分ける。だから彼の創作の場合は、写真家の本能的な行為をあえて一歩手前で踏みとどまる意志の強さが必要だ。あとで描き加えてイメージを完成させるために。
彼のシュールハンズ・タナカという名前は、SURUHANDS TANAKAと書く。シュールレアリズムのシュール。つまりシュールな、超現実的な世界を作り出す手(手法)を持つ田中さんの作品。ビールを飲みながら見ていると、夢かうつつかわからなくなりそうです。
シュールハンズ・タナカ
Spiral「過ぎ行く時間と未来を見つめて}
2014年7月24日(木)~8月3日(日)
大人のベルギービアガーデン
DOLPHINS
ブリーゼブリーゼ 1階
JR大阪駅桜橋口より徒歩5分
地下鉄西梅田駅より徒歩3分
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