ヤマボウシの花は白くない
初夏の六甲山では白い花をよく見かけるが、そのなかでいちばん気品がある花が、ヤマボウシ(山法師)だと思います。ミズキ科の落葉広葉樹で10メートルぐらいの高さになる。ただし4枚の美しい花弁、と思いこんでいた純白の花びらはじつは植物用語で苞(ほう)と呼ぶそうで、本当の花はその中の黄緑色のまるい小さな部分なんだと。オシベだと思っていた部分です。
そういえばアジサイも花だと思っていたのは、花じゃない、と読んだ記憶がある。で、これは咢(がく)と呼ぶのだそうだ。調べましたが違いはよくわからん。それぞれ進化の過程でそういったものが出来てきたらしい。よく目立つ姿になって虫を集め、受粉のチャンスを増やす。釣りの疑似餌みたいなものか。いや、ちょっと違うかな。植物も不思議な奥の深い生命体です。
ともかく、苞(ほう)というのは植物用語で花や花序の基部をおおう葉だそうだ。ツボミをおおっているあの緑のもの。それがヤマボウシでは白く大きくなって、姿はまるで花びら。
この樹の近い親戚がハナミズキ(アメリカヤマボウシ)。庭木や街路樹でよく見かける。こちらの樹には白い花のものとピンクの花のものがある。これも正確に言うと花と言っているのは総苞である。でもややこしいので花と呼びます。その花のカタチも枝の出方も、ヤマボウシにとてもよく似ている。枝は同じところから四方八方に出ていて、ヤマボウシはハナミズキに比べてより水平に枝を張る。やはり日本の山でよく見かけるミズキに近い。それはミズキ科だから当然か。
このヤマボウシ、次に目立つのは赤い大きな実がなる秋。それまでは特に目立つこともなく、黙々と光合成に励んでいることでしょう。
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