ボストンから帰った北斎
知ってました? 世界で初めて葛飾北斎の展覧会が開かれたのは、アメリカのボストン美術館でだった、ということを。120年あまり前の 1892 - 93年に HOKUSAI AND HIS SCHOOL(北斎と一門展)が開催されたそうです。今回は北斎をはじめ浮世絵や当時の日本美術コレクションでは世界一のボストンから、厳選された約140点の作品が里帰りして展示されている。
芸術の価値を認め、保存方法が早く確立されたアメリカで大切に保管された作品ならではの鮮やかな発色。日本にある浮世絵コレクションでは見ることのできない素晴らしさです。明治の初め、安いお金で買って行かれたと批判する人もいますが、そのおかげでこんなに状態のいい北斎が残ったことを、私は感謝したい。
チョー有名な「富嶽三十六景」や「諸国瀧廻り」をはじめ、90歳で没するまでの70年に及ぶ画業を一覧できるすごく面白い展覧会です。若き日、西洋絵画の透視図法を学んで制作した「浮絵」と呼ばれるシリーズ。「組上絵」という、買った客が切り抜いて立体に組み立てて楽しむ浮世絵。これを拡大した記念撮影用セットが、美術館のロビーにあった。いままで知らなかったいろんな時期の作品やスタイルに出会えて、より深く北斎の業績を理解することができました。
死が近づいたとき、「あと十年長生きしたら、もっと絵が上手になるのに・・・」と残念がったという葛飾北斎。死ぬまで向上心を失わなかった、絵師の鑑のような人生だったのでしょう。あなたもぜひ北斎の情熱を感じてみてください。
神戸市立博物館
北斎 ボストン美術館 浮世絵名品展
2014年4月26日(土)~6月22日(日)
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