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2014年4月

2014年4月28日 (月)

ヤマブキがきれいです

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    七重八重 花は咲けども 山吹の
          実の一つだに なきぞ悲しき

 にわか雨に降られた太田道灌が、蓑を借りようと一軒の農家に立ち寄った。出てきた娘が一輪の山吹の花を差し出したという有名なエピソード。『後拾遺和歌集』兼明親王の歌を下敷きに、「実の」を「蓑」に掛けた娘の教養にえらく感心したというお話です。このヤマブキは歌からみてもとうぜん八重でしょうね。でも貧しい農家の娘だけれど美しく(きっと)教養がある、そんな人にふさわしいヤマブキは装飾過多の八重より一重だと思うんですけど。Photo_2
 ヤマブキは全国の山野に自生し、サクラが散るころからパッと華やかな黄色の花を咲かせる。時代劇では悪代官に渡される『山吹色の菓子』として、「お主もワルよのう」の言葉とともにあまりいいイメージはないようだ。そんなこんなで評価や好き嫌いは難しいものだが、長年の好き嫌いが積み重なって独自の文化を作ってきた。それらの総体が現在の日本人の美意識・伝統を形成している。それでいいのではないでしょうか。。

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 わが家で飾るヤマブキは、もちろん一重です。ご覧いただいているヤマブキにぴったりの花器は、高谷さんという陶芸作家の作品。彼は伝統的な焼き物の世界から出発して、今までなかった新しい陶芸の可能性を追求し続けている作家さんです。つぎはどんな展開を見せてくれるか、毎年の個展を楽しみに待っています。
 

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2014年4月25日 (金)

篠山紀信の写真力

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 大阪グランフロント、「篠山紀信」展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN。こんなタイトルで写真展が開かれている。カメラマンとして日本一の有名人の、篠山さんです。彼は雑誌や新聞などメディアに載るのが写真の役割だ、と考えていたという。だから展覧会のような見せ方は軽蔑こそしてないけれど、意味がないと考えていたそうだ。それが今回の全国巡回の展覧会をやるにあたって大きくプリントしてみて、大判のプリントによる展覧会の価値に気づいたという。たしかに現代美術というのはサイズもプレゼンテーションのうち。無視できないたいせつな要素だ。
 彼は週刊誌のコーナーで『激写』という言葉を作ったり、カメラ三台を並べて撮影した画像を合成して見たこともない世界を創ったり、日本の写真の最前線を突っ走ってきた。この大きなプリントを引っ提げて初めて展覧会をする、というのが遅きに失した気がします。

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 時代を象徴する著名人のポートレート。美空ひばり、きんさんぎんさん、山口百恵、岸恵子、三島由紀夫、渥美清、夏目雅子、王貞治、勝新太郎、急に変わりますが浅田真央にももいろクローバーZ、蒼井優、に澤穂希、羽生結絃・・・篠山が「写真の神様が舞い降りてくれた」と認める写真のエネルギーが、ぐんぐんこちらに迫ってくる。売れっ子カメラマンの篠山さんだからこその、大スターたちを写した記録。ただ懐かしのスターが写っているというのにとどまらず、その時代その時代の空気を色濃くまとっている。写真というのは、結局いちばんの価値は記録にあり、と思い知らされました。
 それほど力があるんです。さすが篠山。それともうひとつ素晴らしかったのが、歌舞伎役者を撮影したシリーズ。坂東玉三郎の怪しい魅力、市川海老蔵や中村獅童の荒事、いやぁ江戸時代の写楽の大首絵を髣髴とさせるリアリティ。これが写真の力だ、と言わんばかりの力技。
 じつを言えば、見たことのある作品ばかりだしなぁ、とこの展覧会にあまり気が進まなかったのですが、見てよかった。見事なものでございました。

篠山紀信展 写真力
グランフロント大阪
北館ナレッジキャピタルB1 イベントラボ
2014年4月5日(土)~5月18日(日)

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2014年4月22日 (火)

くまモン王国へ

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 ゆるキャラで人気ナンバーワンは、だんぜん!くまモンだ! 全国どこでもくまモングッズを見かけるでしょ。最近は海外へも進出しているらしい。恐るべし、くまモン。地元の熊本ではさぞや!と思ってみやげ物屋さんに入ると、おぉ、あります、あります。圧倒されます! それにしても、やたら「!」が多いヒドい文章だ。だって、くまモンがついていないパッケージを探すのに苦労するほどなんだモン!

 
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 せんべい、チョコレート、まんじゅう、ミネラルウォーターに焼酎、ケータイストラップにグリーティングカード、リュックにトートバッグ、Tシャツにソックス、スカーフにネクタイ。誰だ!くまモンのネクタイなんか締めるのは。とにかくこれだけ多岐にわたる展開をみせるキャラクターは、かつてなかったと思う。「類は類を呼ぶ」、「数が正義だ」と、まあ言い方はなんでもよろしいが、その物量の前には無条件降伏しか選択肢がない。じゃなぜこんなにゆるキャラが幅を利かせる時代になったんだろう?

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 キャラクターと言えばディズニーやムーミンだった。でもこれらは使う側からすれば、制約が多いうえにお金がかかる。じゃあ新たに作ってしまえ、となったのだろうが、地元らしさを盛り込めるので当たったら非常に効果が大きい。いまや都道府県でゆるキャラを持っていないところのほうが珍しい。それに市町村や商店街でも独自キャラが活躍している。まぁみんながみんな成功しているわけではありませんが。くまモンのように成功しているキャラは、特徴あるデザイン、覚えやすい名前、親しみやすさと物語性を備えています。

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 キャラクターってPRの方法としては確立されているが、成功例があるからと言って「右へならえ」では恥ずかしいと思うのですが、いかがでしょうか。やはり「他がキャラクターでくるなら、うちは違う方法で」と考える自治体が出てきてほしい。ゆるキャラに変わる、もっとインパクトの強い新たな方法で、くまモンに勝ってほしい。くまモンのおひざ元で、そんな夢想にふけるのでありました。

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2014年4月19日 (土)

堀尾貞治 あたりまえのこと

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 兵庫県立美術館の少し山側、国道43号線の角にあるBBプラザ美術館。いま堀尾貞治さんの展覧会が開催されています。堀尾さんは1939年神戸生まれ。具体美術協会にも在籍しておられた神戸を代表する現代美術家です。栄町のギャラリーにもよく観に来ていただいていました。バルセロナのミロ美術館でもその作品を拝見し、とても懐かしくうれしく感じたものです。

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 そんな堀尾さんの作品が約3,000点も展示されている。板切れや、パレット、しゃもじや絵の具箱、網かごや石、えんぴつに木の枝、何に使うかわからない道具・・・。とにかく堀尾さんの身の回りにあるありとあらゆるものに色を塗り重ねるという手法で、長年にわたって作品化している。いつでもどこでもアートする堀尾さんだから、この美術館の壁面も備品もすべてアート遊びの対象だ。即興でなんでも芸術に変える。まるで触れるものがみな金に変わる寓話のよう。ここではそれが元々何であるかはもう意味を持たない。すでに作品になったものは、どうせ本来の役には立たないのだから。

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 アートとは何か、アートの存在理由はどこにあるのか。そんなことを考えていると、「つまらんことは考えなさんな」と堀尾さんに笑われそうな気がする。「おもしろかったらエエやん」。この会場では、芸術がきわめて日常的な行為となっているのが伝わってきておもしろい。いやむしろ日常の行為がすべて芸術となっていると言うべきか。息をして食べて排泄して・・・それらすべてが芸術で、さらにどの行為にも優劣はないというメッセージかもしれません。

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 ともすれば絵を描いたり音楽したりは芸術で、それらは特別で高尚なものだと勘違いしがちだが、普段の生活、日常こそおもしろく充実させなければならない、ということでしょう。ゲイジュツしてますか?生きてますか?と問われているような気がする展覧会でした。

堀尾貞治
あたりまえのこと 「今」

BBプラザ美術館
2014年3月21日(金)~6月1日(日)
10:00~18:00 月曜休館

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2014年4月16日 (水)

吉野の桜と西行

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    吉野山 谷へたなびく白雲は
            峯の桜の散るにやあるらん
 目の前の美しい情景を写生した、たいへん素直な西行の歌。春爛漫のこの時期、下千本、中千本、上千本、奥千本と咲き昇ってゆく、「一目千本」の景色を見てまいりました。「一目万人」かとあきれるほどの観光客。かくいう私もその一人なのですが・・・。Photo_3
 西行は『新古今』で最多の作品を取り上げられた大歌人。しかし当時の歌詠みの常識だった貴族社会からは、若くしてドロップアウト。将来の栄達を約束された地位を捨てて出家し、全国を旅してまわった漂泊の人でもある。そういう生き方から後世の松尾芭蕉などにも多大な影響を与えたことで知られる。現代でも西行を主人公にした本が出版され続けていますね。日本人の心の中で、スーパーな存在の一人でしょう。ここ吉野山のいちばん奥に彼が庵を結んで住んだという跡『西行庵』があります。中には西行法師が木像で鎮座ましましておわす。では、吉野の桜を詠った作品をもう一首。
    吉野山 花の散りにし木の下に
            とめし心はわれを待つらむ

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 おいおい、ひとつ超有名なのを忘れていませんか、と叱られそうですね。はい、そうなんです。うんうん聞いたことがある、うろ覚えだけど知ってる知ってる、と皆さんがおっしゃるあまりにも有名な短歌。でもこれは桜を詠っていますが、場所は吉野ではありません。
    願わくは 花の下にて春死なむ
            そのきさらぎの望月のころ
 じつは辞世の歌だと勘違いしていましたが、死の10数年前の作だそうな。しかし、この歌の通り、二月十六日(満月の日)に桜の咲いているときに死んだため、当時の人々がえらく驚き感動と共感を呼んだという。日付は旧暦なので、今なら4月上旬にあたる。桜の時期に相違ございません。Photo_4
 藤原俊成は「かくよみたりしを、をかしく見給へしほどに、ついに如月十六日望月終り遂げけることは、いとあわれにありがたくおぼえて、物に書きつけ侍る。『願ひ置きし 花の下にて終りけり 蓮の上もたがはざるらむ』」
 西行が生きた平安末期は戦乱が続き、自然災害にも痛めつけられ無常観が蔓延していた時代。散る桜に人生の儚さと潔さ、そして官能と死の影を見る日本人の桜観はこのころから出来上がってきました。
 現代の大阪府・河南町の庵で文治6年(1,190年)72歳の終焉を迎えた西行。長生きだったのですね。彼の打ち立てた美意識が、現代の私たちにも色濃く影響を与えているのは、驚くべきこと。現地に残るお墓を抱く山は1,500本もの桜でおおわれているそうだ。来年はぜひ、南河内の弘川寺へ墓参りに行くとしましょう。

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2014年4月13日 (日)

地獄を見てきました

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 あたりを包むイオウの臭い。ぼうぼうと吹き上がる120度の水蒸気。ブツブツ、グチュグチュ湧き出る熱湯とあぶく。ここは雲仙温泉の地獄です。雀地獄、お糸地獄などかわいらしいのから八万地獄、邪見地獄、大叫喚地獄・・・なてと恐ろしげなものまで、地獄八景をまるで亡者のように私たちが見物してまわる。天草四郎で有名な島原の乱で、たくさんの人がこの地獄で処刑された歴史もあるという。Photo
 でも今は展望台もある。休憩所もある。温泉たまご屋さんもある。歩いている石畳を触ると、あ、温かい。石を積み上げた賽の河原までありました。「地獄内は危険です」と書かれた環境省の看板。「温泉の温泉タマゴはメチャうまい」という、雲仙の小中学生が考えた標語が掲げられている。どこか微笑ましい地獄。もし地獄がこんなところなら、地獄へ落ちるのもいいか。魚も卵も美味しいし足湯もあるし。

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 ここ島原半島は20数年前に普賢岳の噴火による火砕流や土石流で大きな被害を受けたところ。熊本から島原湾を横断するフェリーで向かうと、島原に近づくにつれて眉山の奥のほうに雲仙の普賢岳と平成新山(溶岩ドーム)が荒々しい姿をあらわしてくる。まだ噴火の煙を上げているのかな、いや雲かな、やっぱり噴煙のようだ。
Photo_3  島原港から雲仙岳をぐるっとまわり込んだところにある雲仙温泉は、火砕流が流れ落ちた方向とは逆方向に位置している。だからまだ記憶に新しいすさまじい火砕流が生み出した本当の地獄とは、また違う役割を担っているのかもしれない。テーマパーク的地獄。善男善女がつかのまの平和な地獄をめぐる観光地。これもよろしいんじゃないでしょうか。

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2014年4月10日 (木)

はなにら、春の星の花

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 この季節に山道を歩いていると、スミレもなにやらゆかし、という風情で道沿いに可憐な花を咲かせている。ウツボグサももう咲き始めています。これは夏ごろまで見かけるので、ずいぶん花期が長いんだなあと感心する。そして今、盛りなのがハナニラ。淡いブルーの可憐な花が群生しているのをよく見かける。これは誰かが植えたものでしょうか。アルゼンチン原産。明治時代に栽培用として持ち込まれたものが、風土によく合ったのか帰化したものだそうだ。
 むかしスペインの田舎で初めて真っ白なニンニクの花を見たときの感動が、よく似たこのハナニラを見るたびによみがえる。すっと立ち上がった茎の先に一輪、均整のとれた可憐な花を咲かせる。ニンニクやニラなどクセが強い植物の花が、こんなにもクセがなく美しい花を咲かせる。そのギャップもよけい印象を鮮烈にするのかもしれません。

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 別名スプリングスターフラワー。美しい星のような6枚の花弁を持ったハナニラ。上の3枚と下の3枚がうまくズレて、陽の光をいっぱい享受するかのようだ。 ところが小林鷹さんの『和花』シリーズのハナニラは、花弁が7枚。これはたまたま撮影したのが突然変異で7枚になっていた花だったらしい。四つ葉のクローバーのようなもの? で、花の名前などを監修してもらった植物学者にめずらしいと言われた、という話をうかがいました。そういえば、「はらほらワタシを見て、特別キレイでしょ」と訴えているように見えなくもない。
 私が写した写真には、残念ながら7枚の花弁のハナニラはない。でも、それが普通なのだ。ラッキーはないかもしれないが、それでいいのだ。あれ、バカボンのパパになってしまいました。

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2014年4月 7日 (月)

コウヤミズキだと思います

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 クールビューティという言葉がぴったりの、コウヤミズキ(高野水木、だと思います)。黄色でもすこし白っぽい、そして透明感を感じる涼しげな黄色。レンギョウやヤマブキの派手な黄色とは違う。2月ごろに咲いていたロウバイの色にちょっと似ているかな。こんな木が油コブシの東屋のすぐ裏手にあったなんて! 森林植物園まで行かなくてもいいじゃないか! ちょうどこの時期にここを通りかからないと、気づかなかったでしょうね。なんか新しい宝物を見つけた感じ。これからは毎年この花のタイミングを目指して登らなくっちゃ。
 

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 この木はミズキという名がついていますが、植物図鑑によるとマンサク科。高知県だけに生えるというトサミズキ(土佐水木)に近い。だから別名ミヤマトサミズキ(深山土佐水木)。コウヤミズキという名前はきっと高野山に由来するのでしょうが、ネットで調べても高野山に多いなどという記述はない。謎です。ほかによく似た種類でヒュウガミズキ(日向水木)というのもあるようです。
 今はまだまったく葉は出てないが、図鑑の写真を見ると葉っぱは確かにミズキのようなきれいな葉脈がくっきりと見える。でも円っこい葉は、やはりマンサクの仲間。ミズキやヤマボウシとは樹形もまったく違う。もう場所はばっちりわかったから、葉っぱが出てからまた見に来るとしましょう。
 

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2014年4月 4日 (金)

王子動物園の夜桜

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 パンダで有名な王子動物園が毎年3日間だけ、ライトアップした桜の通り抜けをするので見に行きました。時間は18時から20時30分。jもちろん無料です。桜は明るい昼間に見ると、今年はちょっと脱色されたようにピンクが薄いけれど、照明に照らされた夜に見ると、うん、たしかにサクラ色だ。Photo_6 やはりいいものですね。以前はアマノジャクで、人が集まるところは嫌いだったが最近は変わってきた。これもトシのせいでしょうか。
 動物たちがいる園舎のほうには行けません。行けない範囲が以前よりさらに増えた気がするのですが、そりゃ動物たちも迷惑でしょうから。いや、もしかしたら動物たちがこっそり人間どもを見物しているのかもしれませんね。年に3日だけのお楽しみ、だなんてね。夜桜はヒトに妄想を抱かせる作用があるのか、ないのか。
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 ガードマンが何人も「立ち止まらないでください! 写真撮影は道路の真ん中でしないでください!」と叫んでいる。黄昏からじょじょに暗くなっていき、かすかに吹く風もなまめかしく、歩く人々も妙に浮き立っている。ここには宴会客もいないし、酔っ払いもいない。大声を出す人も、ケンカする人もいない。平和そのものの光景が広がります。ちょっと過剰にガードマンがいるのが目ざわりだが。これも時代でしょう。兵庫県は花火大会で事故があったから、よけいかもしれません。Photo_5
 最初に書いたように、夜桜の時は入場は無料ですが、こんな募金箱がたくさん置かれていました。きっと運営費が厳しいに違いない。まぁ、これも時代でしょうか。夜桜見物は日本人が大切にしてきた文化だから、これを存続させるためにはわずかばかりの浄財を。

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2014年4月 1日 (火)

ヤブツバキ、今は落椿

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 もうすぐ花の時期が終わるヤブツバキ。六甲山系では長峰山や油コブシ、摩耶山などの暖かい南斜面でたくさん見かけます。常緑のツバキが密集して生えている場所は、陽が当たらず暗いトンネルのようだ。まわりはまだ枯れ枝で明るいのに。 そして下にはきれいな赤からもう茶色く変色しているものまで、落花が降り積もっている。そうそう、寒い寒い一月ごろは、この落花を見つけてやっと上に花が咲いているのに気づいたものです。花弁が一枚ずつ散るのではなく花のカタチのままボトンと落ちるので、首が落ちると言って武士は嫌ったという話もあります。真っ赤な花は血の色も連想するのでしょうか。この落ちた花は落椿(おちつばき)と呼び、春の季語にもなっているそうだ。

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 ヤブツバキは温帯の照葉樹林を構成する代表的な樹。そのせいか、六甲山でも500メートル以下の暖かい場所に多い。いくら千メートル足らずの低山とはいえ、山上では生育が難しいのかもしれない。
 むかし中尾佐助さんの『照葉樹林文化論』関連の本を夢中で読んだものです。日本南西部から台湾、華南、雲南、ブータン、ヒマラヤと広がる照葉樹林帯には共通する文化が多いという説。たとえば納豆やおもち。来日した国王夫妻が着ておられたブータンの民族衣装も日本の着物(どてら)によく似ている。むかしは日本人も「モノの豊かさ」より「幸福度」を貴ぶ生活を営んでいたのかもしれませんね。つやつやした緑の葉を背景に、真っ赤な花弁に黄色のシベが鮮烈なヤブツバキ。幸せに生きることができる恵まれた自然環境の象徴に見えてきました。
 

 

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