ミモザとハクモクレン
このところ急に暖かくなって、ソメイヨシノの見頃がちょっと早まりそうですね。そのサクラの前に華やかに満開になるのが、ミモザとハクモクレン(白木蓮)。ウメはもっと早いのですが、春が来た、という感じはしない。まだまだ寒風吹きすさぶなか、身が引き締まるような緊張感をたたえている。それはそれで春を真摯に待ち望む清澄な気持ちにしてくれて、とても好きです。でも、「あぁ、もう春なんだ・・・」と体の内からほのぼの温かくなり、意識を外向きに前向きに変えてくれるのが、ミモザと白モクレンだと思うのですがいかがでしょうか。
鮮やかな黄色の小花がびっしりと咲いてまわりを明るく染めるミモザは、オーストラリアの国花だそうです。そう言われればどこかバター臭い。とうぜん明治以降に入って来たものだろう。常緑樹だけれども、葉はオリーブのような白っぽい緑でマメ科独特の複葉。日本の常緑樹とは違って、いかにも乾燥を好みそうな姿をしている。花期は長く、ソメイヨシノが終わった後もしばらく咲き続けている。
ハクモクレンは中国原産で1,000年ほど前には日本に入っていた落葉樹です。お寺にはよく植えてあるし、最近は街路樹でもよく見られる。寒い時期から毛皮に包まれたような大きなつぼみが目をひく木です。そして葉が出る前に分厚い花びらの重そうな大きな花が咲く。ほんの少し遅れて咲く、これに良く似た花がコブシ。北国の春で歌われるこの花は、ハクモクレンの半分ほどの大きさで、コブシという名前にもかかわらず指を精一杯広げたように花開く。こちらはもともと日本に生えていて、田植えなど農作業とも深くかかわる文化が各地に残っているようだ。モクレンの花期は短く、あっという間に大きな花弁が散ってしまう。
ソメイヨシノが咲く前に目立つ木の花として取り上げたふたつが、たまたま外国原産になりましたね。木の世界でも海外との交流によって景観が豊かになって、私たちの感性も磨かれてきました。ちょうど食の文化が豊かに発展してきたように。そして間もなく本命ソメイヨシノの花便りが全国から寄せられて、日本列島は春本番を迎えます。
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