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2014年3月

2014年3月28日 (金)

ノアの方舟、という展覧会

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   ん? ちょっとキャッチ―な展覧会名ですね。これ、いま兵庫県立美術館で開催されているコレクション展です。サブタイトルに「蒐集(コレクション)による作品たち」とついている。
 人はなぜ、何のために蒐集するのか・・・。古代より、人類は世界中の事物やイメージを自らのもとへ集めようとしてきた。本能が命じるのか、まるで業のように熱中する。旧約聖書の『ノアの方舟』のエピソードは、ノアが神のお告げにより地上のあらゆる動物のつがいを巨大な船に集め、大洪水が収まるのを待って動物たちと生き延びたという話。神が一度この世界をリセットして、選ばれた生きものだけの命をつなぎ、そこから新たな世界を創りだす再生の物語だ。この展覧会を企画したキュレーターは、『ノアの方舟』を近代以降の美術館や博物館の原型と考えて、このタイトルをつけたと書いている。この展覧会でさまざまな蒐集のカタチをとりあげて、美術館・博物館の意味を捉え直そうという試みだという。

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 ここでは収蔵作品を6つのパートに分類して展示されている。ラウシェンバーグや横尾忠則、長谷川潔、森村泰昌などの素晴らしい作品がコレクションされているんだ。なかで特にオモシロかったのが東山嘉事と澤田知子。東山はプラスチックや鉄でできたさまざまな機械や部品やオモチャやガラクタを集めて具体的なカタチ=立体作品を創造している。まさにこの展覧会の趣旨そのもののような作品だ。だからなのか展覧会ポスターやチラシにもその作品の一部が、デザインに使われている。澤田は多くの人の証明書写真を集めて一覧に展示した、ように見えるがすべて自分自身を写したセルフポートレイト。ゼラチンプリントのトーンが美しい。これは一人の人間の中に存在する多様なイメージをコレクションした、とも言えるだろう。
 いままでに見たことのある作品もあるし、初めて見る作品もあった。これら悪く言えば雑多な80点ほどの作品が、こんなにも興味深くこちらに迫ってきたのは、キュレーターの腕前に違いない。へぇ、ほぉ、と感心させられることしきり。『ノアの方舟』に乗り込んで、十分堪能させていただきました。
 

兵庫県立美術館
ノアの方舟 - 蒐集による作品たち -
2014年3月22日(土)~7月6日(日)
10:00~18:00 月曜休館

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2014年3月25日 (火)

ミモザとハクモクレン

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 このところ急に暖かくなって、ソメイヨシノの見頃がちょっと早まりそうですね。そのサクラの前に華やかに満開になるのが、ミモザとハクモクレン(白木蓮)。ウメはもっと早いのですが、春が来た、という感じはしない。まだまだ寒風吹きすさぶなか、身が引き締まるような緊張感をたたえている。それはそれで春を真摯に待ち望む清澄な気持ちにしてくれて、とても好きです。でも、「あぁ、もう春なんだ・・・」と体の内からほのぼの温かくなり、意識を外向きに前向きに変えてくれるのが、ミモザと白モクレンだと思うのですがいかがでしょうか。
 鮮やかな黄色の小花がびっしりと咲いてまわりを明るく染めるミモザは、オーストラリアの国花だそうです。そう言われればどこかバター臭い。とうぜん明治以降に入って来たものだろう。常緑樹だけれども、葉はオリーブのような白っぽい緑でマメ科独特の複葉。日本の常緑樹とは違って、いかにも乾燥を好みそうな姿をしている。花期は長く、ソメイヨシノが終わった後もしばらく咲き続けている。

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 ハクモクレンは中国原産で1,000年ほど前には日本に入っていた落葉樹です。お寺にはよく植えてあるし、最近は街路樹でもよく見られる。寒い時期から毛皮に包まれたような大きなつぼみが目をひく木です。そして葉が出る前に分厚い花びらの重そうな大きな花が咲く。ほんの少し遅れて咲く、これに良く似た花がコブシ。北国の春で歌われるこの花は、ハクモクレンの半分ほどの大きさで、コブシという名前にもかかわらず指を精一杯広げたように花開く。こちらはもともと日本に生えていて、田植えなど農作業とも深くかかわる文化が各地に残っているようだ。モクレンの花期は短く、あっという間に大きな花弁が散ってしまう。
 ソメイヨシノが咲く前に目立つ木の花として取り上げたふたつが、たまたま外国原産になりましたね。木の世界でも海外との交流によって景観が豊かになって、私たちの感性も磨かれてきました。ちょうど食の文化が豊かに発展してきたように。そして間もなく本命ソメイヨシノの花便りが全国から寄せられて、日本列島は春本番を迎えます。

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2014年3月22日 (土)

クイーン・エリザベス入港

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 春めいて来た神戸港にクイーン・エリザベス号が入港しました。このクイーン・エリザベスは3代目で、2010年の就航以来、日本への寄港は今回が初めてだそうです。Photo_6
  朝の8時、予定通りその美しい姿をあらわした。六甲アイランドの横から神戸港に入り、あよそ15分でポートアイランド大橋のたもとにあるポートターミナルに接岸。この様子は家から眺めていました。写真も撮りましたが、望遠が効かない小さなデジカメでしかも春霞、ヒドイものです、スミマセン。キュナード社によるカッサンドルのようなアールデコなポスターで見ると、ホントに美しいのに。で、気になってポートターミナルまで見物に出かけることにしました。さて今年のクルーズ・シーズン、何回ここに来ることになるのでしょう。物見高いんだから。

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 遠くから眺めるのもいいけれど、やはり美しいものは近くに寄って見るに限る。クルーズシーズンの幕開けを飾るこの英国の豪華客船は、9万900トン、全長294mだという。そばで見ると船というイメージをはるかに凌駕し、むしろ巨大なビルです。ベランダがずらりと並んだチョー大規模なマンション。救命ボートや煙突があるから、かろうじて船かなという感じ。なかなか全容がつかめません。いちばん前まで歩いて行って、舳先が見えてはじめて「船なんだ」と安心しました。そこまでの長いこと。
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 2,000人を越える乗客はバスを連ねて京都観光に出かけたり、神戸の町を散策したり、思い思いに時を過ごす。カメラを持った見物客がわんさと押し寄せてガヤガヤ騒々しいのに、我れ関せずとばかり、デッキチェアでひなたぼっこをしながら読書にいそしむマダムも見かけました。強い人ですねぇ、日本人には無理です。
 そして夜11時すぎ、静かに出港していきました。(写真はあきらめました) 次の停泊地は長崎。そして世界一周のクルーズは続いていきます。

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2014年3月19日 (水)

穂高に槍、ただし六甲山の

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 北アルプスの名山が並んだ、かのような今回のタイトル。はるばる信州まで行かなくても、六甲山にもちゃんと穂高や槍がありまっせ、というお話です。六甲ケーブル山上駅から西へ向かうと、摩耶山の手前に杣谷峠があります。その右手にあるのが新穂高湖。少し前までは凍結していた湖面も、このところの暖かさで融けて対岸の山や木々をきれいに映しています。この正面に見える三角形のピークがシェール槍。本家の槍ヶ岳ほど鋭角ではありませんが、まぁいいでしょ。神戸の岳人たちが北アルプスにあこがれて名付けたんだから。○○富士や○○銀座が全国にあるのと同じことでしょう。
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 穂高湖畔を周回する道からそれて、わずか10分ほど急登すると頂上に立てる。ただし10分だからと言って侮るなかれ。これがちょっとした岩登りなのです。そのかいあってピークの岩の上からの眺めはサイコー! 須磨方面から丹波の山々まで見渡せる。穂高湖の反対には六甲山牧場。Photo_3
 今は冬枯れの景色だが、新緑のころは本当に素晴らしい。針葉樹の黒い緑と新緑の淡いグリーンに赤や黄色の新芽が混ざって、「トスカーナの田舎みたい!」と感激するのであります。毎年のことながら同じセリフを発している気がする。たくさんのハイカーが行き交う場所なのに、ここまで脚を伸ばす人はほとんどいません。シェール槍は、六甲山であまり知られたくない穴場のひとつ。あまり言いふらさないようにいたしましょう。

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2014年3月16日 (日)

老いたパトカーの行く末

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 古くなったり使えなくなったパトカーは、どう処分されるのだろうか? 日頃なんとも思っていなかったけれど、この前から妙に気になりだした。そのきっかけは、散歩中にパトカーの墓場(?)のような場所を発見したからだ。高速道路の高架下、塀があるので地上からは見えないところ。たまたま歩道橋を歩いて気が付きました。
 最初は「こんなところにパトカーの基地があったのか」と思いましたが、どうも様子がおかしい。身動き取れないぐらいギッシリ詰まっている。よく見るとハトのフンで屋根も窓も汚れている。あぁ無残な姿。街の平和のために尽くしてきたクルマの老後としては、ちょっとかわいそうな気がする。そうかといって、こんな特別な車両は中古で売るわけにもいかないだろうし。最終的にはスクラップになるのかなぁ。消防車や救急車もきっと同じような悩みがあるのでしょうね。頑張った戦士に、もっとふさわしい行く末があればいいのに、と願わずにはおられません。

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2014年3月13日 (木)

伊勢らしさ、ええじゃないか

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 お伊勢さんのおひざ元では、ファミリーマートも敬意を表してデザインに配慮しています。ほら、建物は古い町屋だし、景観を崩さない地味な色合いの看板。コーポレートアイデンティティを主張せず控えめで、好感持てるでしょ。郵便ポストは赤くて丸いし、門前町には高いビルはひとつもありません。レトロな昭和、よりもっと古い「おかげ参り」が盛んだった江戸末期の街並みがコンセプトかもしれません。もちろん当時はコンビニなんてなかったのですが。

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 飲み物の自動販売機だってこの通り。木の箱に注連縄つき(中身は全国共通だけれど)。ちなみに伊勢の街では小正月を過ぎても一年中、家々の門口に注連縄が飾られています。これはスサノオノミコトがこの地へ来た時、世話になった蘇民将来という人に「一年中注連縄を付けておくと子孫代々にわたって疫病を免れるであろう」とおっしゃたから、という言い伝えがあるそうだ。だから「蘇民将来子孫家門」や「笑門」、「千客万来」などと書かれた門符や木札が付いている。

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 がんばっている伊勢で、食べるものはといえば、定番の伊勢うどんと赤福は外せませんね。太くて柔らかいウドンが濃い色の汁に浸かっている伊勢うどん。食べてみると見た目よりずっとおいしい。赤福は大阪のデパートにも出店があるぐらいポピュラーだが、やっぱりここで食べるとおいしい(気がする)。そしてこの狭いエリアに支店や系列のカフェが何店もあって、さながら赤福村のおもむき。でも町おこしに貢献しているのだから、ええじゃないか、ええじゃないか。

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2014年3月10日 (月)

作法にのっとり、お伊勢参り

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 お伊勢参りに行ってまいりました。昨年の遷宮で、そうだ行かなきゃと思って小学校の修学旅行以来の、ン十年ぶりのお伊勢さん。どこをまわったかも、まったく覚えていません。で、友人がくれた新聞の切り抜きを頼りに、順路を守って作法にのっとり、まずは外宮から。ここの参道は左側通行です。内宮は逆の右側を歩くそうですが、人が多いので後をついていれば自然にそうなりました。
 手水舎で身を清めるのにも作法がある。左手、右手の順に手を清め、左手に水をすくって口をすすぎ、最後に左手を洗い流す。また鳥居をくぐるときは一礼します。鳥居はたくさんありますよ。お参りは「二拝二拍手一拝」。

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 翌日はいよいよ内宮へ。水清らかな五十鈴川を渡り、右側通行で天照大神をお祭りする正宮へ。自然のままに残された古木が生い茂り、ピンと空気が張りつめたスピリチュアルな神域。不信心なものでも思わず背筋が伸びます。正宮の後にまわる別宮も順番がある。もちろん順路通りにお参りしました。
 伊勢神宮は日本の古来の姿をとどめているので、鈴や狛犬など外来文化のものはありません。鳥居やお社を朱色に塗ることもありません。だから印象はとてもミニマルで、清浄な美しさが満ち溢れている。こけおどしの要素が一切ないのでよけい神性が強く感じられ、厳かな雰囲気がこちらの内面にまで染みわたってくるのでしょう。
 四月中には旧宮の解体が始まるそうですから、新旧両宮が見られるのはあと一か月ほどです。

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2014年3月 7日 (金)

灘の昔の酒蔵へ

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 灘五郷のなかで、いちばん三宮寄りの西郷。阪神電車の大石駅の海側に、「昔の酒蔵」をそのまま利用した沢の鶴資料館があります。阪神大震災で倒壊した建物を復元したそうだ。まずはここで働く丹波杜氏Photo_3 が酒造りをわかりやすく説明するビデオで、灘の酒の概要を知る。宮水や寒造りなど、聞いたことあるあるという言葉 がいろいろ出てきました。
 そのあとは江戸時代に建てられたという酒蔵の中の展示を見て歩く。大きな古い大桶やお酒を絞る渋袋、それに何に使うのか説明を読んでもよくわからないさまざま道具が展示してある。江戸へお酒を運んだ樽廻船の模型や大正時代のポスター・・・。

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 ここの資料館の売店では、できたての原酒の試飲ができる。そして、それに軽く火入れしてここでのみ販売しているお酒がある。その名も「昔のさかぐら 沢の鶴資料館」。こんな能書きに弱い私は、思わず買ってしまいました。おまけに酒粕も。無料の試飲ができておトクなはずが、相手が一枚上。でもさわやかな吟醸香で飲みやすいおいしい灘酒が手に入ったのだから、良しとしよう。
 いま灘でも伏見でも、いくつもの酒屋さんがこんな資料館をオープンしている。そして見学して試飲するには、ちょうどいい季節を迎えています。興味のある方はぜひ足を運んでみてください。

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2014年3月 4日 (火)

大阪にガウディの公園?

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 西梅田から福島方面へ。ハービスを過ぎて毎日新聞大阪本社の南に、小さな公園がある。国道2号線の横、上には高速道路が走っていて決して景色のいい場所ではない。でもこのポケットパーク、ちょっと頑張っているのだ。Photo_4 波打った形のベンチにはガウディのような破粋タイルが貼ってある。バルセロナのグエル公園のベンチと少し似ている 。色は本家ほど鮮やかではないし、創造性も劣っているでしょう。でも「もうかりまっか」の商人の町・大阪が、美を意識するなんて素晴らしいことじゃありませんか。長く続いていた2号線の拡幅工事も、この辺りは終わり、街灯や町名表示板もちゃんとデザイナーが入って作業しているのが分かる。以前の大阪と比べたら格段の進歩です。街が美しくなるのはとてもいいこと。


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 この公園に一角に高さ3mぐらいの壁があるが、そこには和風のタイル画があります。タテ長の模様が計10点。着物の柄からとったのでしょうか、なかなかいい。これはガウディとは違って、ここのオリジナル。外国から来た観光客も喜びそうです。もし来たら、の話ですが。噴水やライトアップは東日本大震災(3.11)以降、自粛しているようです。
 高速道路を見えない地下に潜らせるとか、ビルの高さや色の制限など大規模な都市計画はもちろん大切です。でも、実現しにくい時間のかかる大きな夢物語よりも、小さくても着実にできることを地道に積み上げる努力が必要なのではないでしょうか。大阪のみならず、日本のいろんな都市で、散歩したくなる街並みへ、さらに頑張ってほしいものです。

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