グルスキー、整理の極意
あふれる色彩の整頓。ここではタテ・ヨコのラインと透視図法によるパースペクティブが、散乱する色に美の世界の秩序を与えている。そこかしこに見える「99」の文字も、うまくリズムを生んでいる。ここは99セントショップ。日本のヒャッキン。雑多なモノがすべて99セントで売られているこの業態は、一見無秩序に見えてじつは情報の整頓そのものだ。従来の小売りの概念から考えると異色だけど、すごくシンプルです。グルスキーのコンセプトを表現する、まさに格好の素材かもしれません。
経済的、機能的という面を追求すればするほど美学は犠牲にならざるを得ない。従来の考えでは。だからグルスキーのような作家が出てきて、新しい美を「発明」しつつ(今までなかった整理法)、現状に警鐘を鳴らす、こんな作品が世界には必要なのだと思う。
経済的、機能的という面を追求すればするほど美学は犠牲にならざるを得ない。従来の考えでは。だからグルスキーのような作家が出てきて、新しい美を「発明」しつつ(今までなかった整理法)、現状に警鐘を鳴らす、こんな作品が世界には必要なのだと思う。
脈絡のないカタチの整理。「バーレーン」と題された作品は、淡い茶色と黒が波打つように揺らめいてとても美しい。ン?砂漠? バーレーンにできたF1サーキットのようだ。引かれたライン、黒いのはアスファルトか、よくよく見ると、メインスタンドがある。コーナーの広告も見える。フォーミュラーカーも走ってる! でも観客は入っていないからテスト走行か。
このような楽しい推理の機会を提供してくれるグルスキーは、整理の達人だと思う。砂の色とアスファルトの黒、このシンプルな色彩構造がベースになっているからこそ、特徴的なうねるカタチが生きてくるのだ。つまり整理整頓とは要素を少なくする決断力と、ある考えのもとにまとめるセンスなのでしょう。
国立国際美術館
アンドレアス・グルスキー展
2014年2月1日(土)~5月11日(日)
このような楽しい推理の機会を提供してくれるグルスキーは、整理の達人だと思う。砂の色とアスファルトの黒、このシンプルな色彩構造がベースになっているからこそ、特徴的なうねるカタチが生きてくるのだ。つまり整理整頓とは要素を少なくする決断力と、ある考えのもとにまとめるセンスなのでしょう。
国立国際美術館
アンドレアス・グルスキー展
2014年2月1日(土)~5月11日(日)
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