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2014年2月15日 (土)

グルスキー、鳥の眼

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 高いところから世界を眺めるていると、見えている現実世界とは部外者のような気がしてくるものだ。もっと言えば、どこか冷めた異邦人、宇宙人の視点。そして見えている世界は自分のもの、という感覚。(神のような、と言うと不遜なのでひかえますが) 私たちが高いところから眺めるのが好きなのは、ただ単に見えなかったものが見える、全体像が理解できるといった物理的な理由だけではないはずだ。
 地平線の彼方まで続くだだっ広い平原。道路が走っている。直線は自然界にはないものだ。牛が放牧されている。黒い牛、白い牛、茶色の牛。枯草の中にポツポツ生えているブッシュかと思ったそれがたくさんの牛だった。ここは大牧場。やっと結論らしきものまでたどり着きました。ここに至る過程こそが、グルスキーが提案するアート体験なのでしょう。

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 緑が少ない山にクネクネと道がついている。なにげない風景。と思いきや、クルマが道端にいっぱい、止まっている。あ、自転車が走っている。大勢の観客も見える。これはツール・ド・フランス。空にはヘリコプター。取材用だろうか。あまり面白味のない風景写真と思った作品に、ぐいぐい引き込まれてゆく自分がいる。なぜか? 一つ一つのピースをよく見ていくと、それぞれにドラマが感じられるから。また、メジャーなスポーツイベントなので、情報としていっぱい知識をため込んでいる。その知識の引き出しから過去の記憶を呼び覚ます引き金になるから。まぁ理由はいろいろ考えられるでしょう。結局これらの作品の魅力は、パッと見とじっくり見ていくうちに発見するオモシロさとの落差、ということではないでしょうか。
 一粒で二度おいしい、はグリコですが、一枚で何度も何度もおいしい、がグルスキー。しかもその面白さの度合いは、観る者の引き出しの多さや感受性によって変わる。つまり観る側が試されている? 高いところから俯瞰する楽しみについて、冒頭で書きましたが、こんな俯瞰図を提示する作家(神)も困ったものだ。お願い、もっと困らせてくれ。

国立国際美術館
アンドレアス・グルスキー展
2014年2月1日(土)~5月11日(日)

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