世界に、もっと愛を
タムラサトルの個展、タイトルは「愛マシーン」。なんか気になるでしょ。で、大阪ホリエの帝塚山ギャラリーへ見に行きました。
ドアを開けると、正面に大きな「愛」があります。これは確かに愛です。チェーンと歯車でできた漢字の「愛」が、かすかなモーター音をたてながらガタガタもぞもぞ動いている。まさにマシーン! なんや、そのままやん。と侮るなかれ。天井に届きそうな巨大マシーンです。金属の冷たい質感と相まって、観る者を圧倒する迫力がある。でも、どこかロマンチックでユーモラスだ。それは愛を機械のようにしてしまった現代、あるいは機械化されてしまった愛を、あっけらかんとおちょくっているのだけれど、ICなど無縁のいかにもローテクな仕掛けにあるのだと思う。
婚活パーティや恋愛のハウツウ本の氾濫。機械化された、あるいはマニュアル化された現代の愛は、もうひとつ焦点が定まらなくなっている。愛の不毛、だからこそ世の中には愛という文字と言葉があふれる。震災後「絆」という言葉がワッと広まったように。タムラサトルはこの展覧会で「愛」以外にも、「LOVE」と「ハート形」を展示している。もちろんどれもチェーンと歯車でできたマシーン。濃密なナンセンス、意味の無意味化への熱情が私たちを感動させるのでしょうね。
最終日の2月14日(金)には、18時からバレンタイン・クロージングパーティも開催されるそうですよ。興味のある方は行ってみてください。
タムラサトル「愛マシーン」
TEZUKAYAMA GALLERY
2014年1月17日(金)~2月14日(金)
| 固定リンク
「展覧会情報[2014]」カテゴリの記事
- 震災 記憶 美術 という展覧会(2014.12.20)
- ド派手な棺桶と祖先の像(2014.12.11)
- 民博、イメージの力(2014.12.08)
- ジャン・フォートリエって誰?(2014.12.02)
- 向井理依子さんの額装展(2014.11.29)
コメント