熱情と冷静のアヴァンギャルド
デザインのちょっと面白い展覧会が、いま大阪ミナミのdddギャラリーで開催されている。1920年代から30年代のロシアアヴァンギャルドやバウハウスのポスターなどのグラフィック。そして戦前の成果を引き継いだ1950年代から60年代のスイスやオランダのモダンデザイン。
社会の動乱や改革の波のなか、夢や理想を追い、デザインを介して新しい社会を構築しようとした熱い情熱を感じます。また一方では、理想の実現のために極限まで合理性を追求する冷めた知性も感じられます。この熱くもあり、冷たくもある独特の美意識が、アヴァンギャルドな実験的グラフィック作品を作り出している。モンドリアンたちによる雑誌『デ・スティル(様式)』を中心として展開された幾何学的な造形や、リートフェルトの家具や建築など、この時代の美の空気を残すものたちは、今も新鮮だ。
対象物のデフォルメや思い切ったトリミング、意識的なアンバランスや強いタイポグラフィーなど独特な感覚がある。そこからは、古典的な均衡とアールヌーボーやアールデコの装飾性に反旗を翻し、新しい時代をつくる新しいデザインを模索したアーティストやデザイナーの強烈な想いがひしひしと伝わってくる。20世紀の前半から中頃にかけて、世界の主流ではなかったけれど、その後の美意識に大きな影響を与えたデザインの前衛を体感する貴重な機会です。ぜひご覧になってください。
会場においてある説明用のリーフレットもアヴァンギャルドの雰囲気をうまく表現していますよ。大きな三角形の紙を四つに折りたたんで、それぞれの分野ごとの説明に充てている。担当者もかなり力を入れて取り組んだのでしょう。
大阪新美術館建設準備室デザインコレクション
熱情と冷静のアヴァンギャルド
dddギャラリー
2014年1月17日(金)~3月5日(水)
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