太古の声を聴くように、
ここは犬島の、石職人の家跡。その敷地に、土や石や木などの自然素材を使った作品がある。淺井裕介の「太古の声を聴くように、昨日の声を聴く」。まるでストーンヘンジや古代マヤ文明の遺跡のように見えます。それが作品名の前半『太古の声を聴くように』にあたるのでしょうか? そうすると、かつてそこにあった建物の柱や礎石に見えるオブジェが、後半の『昨日の声を聴く』ということになる。
アーティストはこのような方法で、私たちの注意を喚起する。この土地に降り積もり、深く沁み込んで沈潜している感情や記憶に、じっと耳を傾けろ!目を見開いてしっかり見ろ!と。この島固有の自然、人々の営み、歴史、文化。でもそれは、この犬島に限ったことではない。世界中どこでも同じことが言える。そうか、作家が言いたいのはそのことなのだ。
近づいて見てみる。アースカラーの自然素材で描かれたパターン模様は、原始の姿のようでもあり、宇宙のひみつを解き明かしているようでもあり、未来のコンピューターの配線図のようでもある。それはこの場所、この家の記憶を超えて、時空のはるかかなたからの記憶。DNAに刷り込まれた地球上の生命の記憶。もしかしたら地球が生まれるもっと前、宇宙誕生の記憶。
私たちは、なぜここにいるのか。そしてどこへ行くのか・・・。淺井裕介の作品は、一軒の家の跡から、一つの島から、一つの国から、世界や宇宙や時間を考える視点を提供してくれました。ミクロからマクロへ、想像力が私たちの視界を無限に拡大してくれる。
アートをめぐる旅
瀬戸内交際芸術祭 2013
春:会期、夏:会期 終了しました
秋:10月5日(土)~11月4日(月・祝)
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