宇宙人の痕跡、ではない
樹々の下や遊歩道の草陰で、ミステリーサークルのように配置された銀色の謎の物体が・・・。UFOの基地か、はたまた古代の遺跡か。スミマセン、まるでひところ流行ったTV番組の予告のような書き出しになってしまいました。これらはJomi Kimの作品で、六甲高山植物園とオルゴールミュージアムの敷地内の計3ヶ所に、ひっそりと佇んでいる。作品名はそれぞれ「untitled -forest-」、「untitled -pond-」、「untitled -field-」。
このuntitledという作品名、「作家は何も方向性を示しません、観る人が勝手にイメージしてください」という、無責任なような、鑑賞者の自由を最大限尊重するような、ケッタイなネーミングだ。現代アートではよく見かける手口です。最初に作品名をつけなかった作家は独創的でエライと思いますが、後のuntitledはものまねでしょう。この作家さんは、森や池や野原を付けているのでいいですが・・・。
不思議な質感のこの素材は、アルミホイルだそうだ。きっと指でくちゅくちゅと揉みこんだのでしょう、ツヤツヤじゃない鈍いつや消しの静謐な美しさ。決して冷たくはなく、と言うよりも冷たい温かいなどの感覚を超越した物質を感じる。そしてこの小ささがいい。まるで天体の運行を司る神になったような気分にしてくれるから、逆に大きなスケール感がある。
ミクロとマクロ、過去と未来。相反するふたつの概念を内包するカタチは、歴史時代以降の人間の理解を超えるパワーを持っている。だからつい宇宙人の仕業か、と思ってしまうのかもしれません。ストーンヘンジやネイティブアメリカンの環状列石に、言葉で表せない感動と畏敬の念をおぼえるのは、DNAに刷り込まれた遠い過去の記憶のせいでしょうか。地球の生命は宇宙からやってきた、という説も100%は否定できない気がしてきました。
六甲ミーツ・アート 2013
2013年9月14日(土)~11月24日(日)
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