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2013年11月15日 (金)

クワクボリョウタの新展開

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 『影像』という言葉はクワクボリョウタの発明だろうか。暗い展示室の壁に、動く影絵でさまざまなイメージを表現する独自のスタイル。昨年の越後妻有トリエンナーレや六甲ミーツ・アートで見て感動したのが、鉄道模型を使った抒情的な作品。走る機関車のヘッドライトに照らされたいろんな極小のモノの影がまわりの壁面に拡大され、走るにつれてダイナミックに変化していく様が映し出され、あたかも列車の窓から外の風景を眺めている気分にさせてくれる名作でした。夜汽車で一人旅をしているかのような、と言っても夜汽車の窓からは外は真っ暗なんだけど、懐かしく寂しいけれどちょっと幸せな感覚を呼び起こしてくれた。影には潜在意識の底に沈んだイメージを浮かび上がらせる不思議な力があるようだ。
 今回の新しい作品は「忘れ物取扱所 lost and found 」。建物の奥の奥のそのまた隅の方に歩いていくと、忘れ物取扱所という真っ暗な部屋があり、そのなかで四角がいっぱい連らなった『影像』作品が上映されている。とてもわかりづらい場所です。わざとでしょうけど。
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 彼の作品の面白いところは、その仕掛けをすべて見せるところにある。直進性の強い光源から照射された光が、バネや松ぼっくりや、待ち針や回転する円盤やらの影を、四角いマドが切ってある金属板を通してまわりの壁に映し出す。すると元の小物からは想像もできない豊かなイメージが湧き上がる。ユラユラと、あるいは激しく動く『影像』。色彩がないからよけいにイマジネーションを刺激するのでしょう。
 「忘れ物取扱所は、普通は何を探しているかを知っている人たちが訪れる場所です。しかしここは、並べられた作品やそれらの作る影像を眺めながら、新たに何かを忘れたり思い出したりするための、記憶の取扱所です。」と説明ボードに書いてある。私たちも脳の底に沈殿した古い古い記憶の断片と、思いがけない対面を果たすかもしれません。

六甲ミーツ・アート 2013
2013年9月14日(土)~11月24日(日)

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