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2013年9月 2日 (月)

妹島和世の中ノ谷東屋

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 暑さのなかアートめぐりに疲れたら、ちょっと一休みして水分補給。そんなときにピッタリなのが、妹島和世さんが創った東屋。細い円柱で支えられたキノコのような形の軽やかな金属(アルミ?)の屋根。視界を遮らず、風もよく通るよう、壁はない。だからどこからでも出入り自由。軒が低いので入るとき屋根の端をつかんだら、アッチチチチーッ。太陽に焼けて7~80℃になっているんじゃないだろうか。
 目がクラクラする強い日差しの只中から、ちょっとうす暗く感じる空間に足を踏み入れると、一転涼しい風が吹き抜けホッとする。床は地面の傾斜やデコボコをそのまま残したコンクリート。凹曲面の天井はまわりの緑を映して空気までグリーンに染めている。
Photo_3
 内部空間に置かれた椅子はSANAA(妹島和世+西沢立衛)がデザインした「ラビットチェア」。かわいいでしょ。このとっても開放的なスペースが、オモシロいことに音は内にこもって反響する。話し声も拍手も足音も、こだまのように響き、増幅され、体中が音に包まれる。天井の凹面にその秘密があるようだ。
 視覚の開放性と聴覚の閉鎖性。このギャップが、なんか不思議な感覚を呼び起こす。内と外を隔てる壁はいっさいない、いけいけのスペース。だけど目に見えない結界が確かに存在するようだ。まるで神社の、笹としめ縄で囲まれた聖なる場所。そうだ!ここは暑さや雨から避難するシェルターであるだけじゃなく、疲れた精神を癒やし次へ進む活力を蓄えさせてくれるパワースポットなのだ。

アートをめぐる旅
瀬戸内交際芸術祭 2013
春:会期、夏:会期 終了しました
秋:10月5日(土)~11月4日(月・祝)

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