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2013年9月 4日 (水)

家プロジェクト、透明なS邸とA邸

Photo_6
 犬島にはアートディレクター・長谷川裕子と建築家・妹島和世が手掛ける家プロジェクトが、現在5軒。空き家や住居跡をリノベーションし、アートの力で島を活性化させようという試みです。そのうち透明アクリルを壁面に使い、どちらもアーティスト・荒神明香の作品を展示する2邸を紹介しましょう。Photo_7
 まずS邸は、大きさも焦点も異なる円形レンズをたくさん使ったインスタレーション「コンタクトレンズ」を展示。遠目には海の底からあらわれる泡のように見える。近くによると空や木々や家々や人々がいろんな角度やサイズで映っているのがわかる。そして透明の壁だから、向こう側の緑の山や石垣は、透けて見えている。文字通り、アートが島の風景や人々の暮らしと一体化しています。
 見慣れた風景が、このように複眼的に見ることによって生まれる、新鮮な驚き。伝統的な焼き板壁の景観に、モダンな異物であるアクリルを放り込んで、ストレスを与えることなく調和と良き刺激を生みだす方法・技術は、「透ける」と「映る」でしょうか。これは全国の街づくりのヒントになるかもしれません。
Hana_2
 もう一つはA邸。こちらも透明アクリルのリング状の構築物のなかに、荒神明香の作品「リフレクトゥ」が展示されている。色鮮やかな花びらが空中に乱舞する立体作品。まだ島にたくさんの人が住んでいたころの盆踊りのにぎわいのように感じます。華やかな浴衣姿の踊り手がつらなって、一つの時間を共有する。Hana_3古き良き時代の記憶。
 花は生と死を強く意識させるものですが、造花のウソっぽい華麗さは美しいがゆえによけい死の匂いを強く喚起させます。桃源郷、極楽浄土、ユートピア、シャングリラ・・・。この世にはない場所、つまり死と隣り合わせにある場所。
 透明な壁に囲まれた空間の内側に置かれた銀色に輝く椅子、そこは人生の終末に座って来し方を回顧するために置かれた椅子? そんなことはないでしょうが、白昼夢を見ているようなシュールな光景でした。

アートをめぐる旅
瀬戸内交際芸術祭 2013
春:会期、夏:会期 終了しました
秋:10月5日(土)~11月4日(月・祝)

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