心臓音のアーカイブを体験する
クリスチャン・ボルタンスキーは、昨夏の越後妻有トリエンナーレで感動した作品「No Man's Land」を作ったフランスのアーティストです。彼は2008年から人々が生きた証として、心臓音を収集するプロジェクトを展開している。ここ豊島の唐櫃浜にある「心臓音のアーカイブ」は、世界中で集めた心臓音を恒久的に保存し、それらを聴くことができる小さな美術館。
館内は3つの部屋で構成されている。まず真っ暗な部屋で心臓音が大きく響くインスタレーションが展開されるハートルーム。不気味に、あるいは力強く打ち鳴らす打楽器のような音に合わせて、照明が点滅する。胎内に戻ったかのような心細いけれど安らぐスペース。2番目は集められた心臓音を収録場所や名前から検索して聴くことができるリスニングルーム。そして3番目は心臓音を再録するレコーディングルーム。美術館というより、なにかの研究所のようです。
ハートルームがなかでは美術館らしい部屋だが、その展示だけならあまり面白くない。キモは最後のレコーディングルームです。希望する人は登録料1,500円を払えばこのレコーディングルームで心臓音を再録してくれる。採録された心臓音はメッセージとともにアーカイブ化され、作品の一部となるという仕組みです。このシステムというか行為そのものがアートなのです。(こうなると現代アートってわからない、と言われそうですが…) アーカイブはすでに2万人近くになり、日々増え続けているそうだ。そして登録した人は、いま採ったばかりの自分の心臓音も含まれたCDブックレットを持ち帰ることができます。
自分がアート作品に参加する喜び。これは理解できますが、正直言ってどの心臓音もそれぞれ違いはあるにせよ、あまり面白くなかったです。ゴメンナサイ。ま、面白いかどうかが大事ではなく、あらゆる人の心臓音を取捨選択せずに同列で集めることに意味があるのだから、これでいいのでしょう。
アートをめぐる旅
瀬戸内交際芸術祭 2013
夏:7月20日(土)~9月1日(日)
秋:10月5日(土)~11月4日(月・祝)
| 固定リンク
「瀬戸内国際芸術祭 2013」カテゴリの記事
- 太古の声を聴くように、(2013.09.06)
- 家プロジェクト、透明なS邸とA邸(2013.09.04)
- 妹島和世の中ノ谷東屋(2013.09.02)
- 近代化の跡、犬島製錬所美術館(2013.08.31)
- あいちトリエンナーレのPR(2013.08.25)
コメント