高所恐怖症の方、お断りアート
マイク+ダグ・スターンによる巨大なインスタレーション、その名も「Big Bambu」。豊島の甲生(こう)地区にあります。彼らは数千本の竹を使い、地上から15m以上の高さにツリーハウスのようなやり方で巨大な構造物を作ってしまいました。まず受付のテントで言われたのが、「足が弱い方、高所恐怖症の人はご遠慮ください」。高さ15mと言っても山の斜面の竹林の上だから、登り口から考えるとその標高は優に50mはあると思う。
斜面の傾きに沿って、しかも地面からだいぶん離れた竹林の中ほどに、曲がりくねって付けられた登り路も、もちろん竹でできています。すれ違いもできない狭さだから、7~8名ずつのグループになってガイドさんに引率されて登っていく。竹だから平らじゃないし滑りやすいし、生えている竹を支柱にしているので路全体がゆらゆら揺れる。登ること10分あまり。とつぜん前方が明るく開けて、そこに帆を張った船のような形状のスペースがあらわれる。竹林の梢に乗っかった展望台。涼しい風に吹かれ瀬戸内海の美しい島々を眺めていると、しばし高所の恐怖を忘れる。この構造体、くみ上げるのに釘や金具は一切使っていない。登山用のザイルで縛っているのだ。
これを作るのにアメリカから15人ほどがやって来て制作したそうだ。もちろんクライマーも20人ぐらいが手伝って。登山の技術なしにはとうていできない作業でしょう。
登り始めてから地上に生還するまで、所要時間は約30分。ほどよいスリルと素晴らしい景色を楽しみ、ちょっとした達成感も味わえる極上のエンターテインメント。だから現代アート巡りはやめられない。
バス停に向かって歩いているときに振り返ったら、見えてるじゃないですか! 竹の海に浮かぶ船が! ここに向かうときにはまったく気が付いてなかったけれど、こうして見てみると、やっと全体像がつかめました。見えていないこの下にも、作品の一部である登り路は延々と続いているのだ。お疲れさまでした。
アートをめぐる旅
瀬戸内交際芸術祭 2013
夏:7月20日(土)~9月1日(日)
秋:10月5日(土)~11月4日(月・祝)
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