豊島横尾館と豊島美術館
豊島の表玄関、家浦港から歩いて7分。横尾忠則の死生観をシンボリックにあらわす豊島横尾館が7月10日にオープンしました。建築家・永山祐子が民家を改修。母屋、蔵、円形の塔からなる、赤い色ガラスが効果的なユニークな建物です。ニホン庭園に配置された岩は真っ赤、鶴や亀の石像は金色。水底に砕いた陶器やタイルを貼った色鮮やかな池が母屋の床下まで続き、それらをガラス張りの床を歩きながら鑑賞する。あるいは縁が赤の畳の座敷に座って眺める。ゴクラクとはこんな感じかも、と思いました。そして円形の塔の中は鏡張りの仕掛けで、アタマがクラクラ目もくらむ。横尾ワールドのパワー全開です。
「塔は男性原理、庭は女性原理を表し、精液が子宮に流れ込み生命が誕生する、その循環を象徴しているんです」と、横尾さんはおっしゃっているそうです。
この島が誇るもう一つの素晴らしい美術館が、アーティスト・内藤礼と建築家・西沢立衛によって2010年秋に完成した豊島美術館です。地上に降り立ったUFOのようなこの建物は、40m×60mの水滴のようなカタチで柱が一本もないコンクリート・シェル構造。天井にある2ヵ所の開口部からは、つねに光と音と風が入る。雨が降れば雨も入る。まさに周囲の自然と一体化だ。
季節や時間によってさまざまに表情を変える内部空間では、靴を脱いで入った観客は座ったり寝転んだり、みんな思い思いに瞑想にふけっているようだ。しかも、微妙に凹凸がある床からは、どこからともなく水滴があらわれ、コロコロと流れて集まり大きめの水たまりを作る。そして水の動きと形は無限に変化する。何も考えず静かに呼吸するだけの自分。これこそ宇宙との一体化、無我の境地かもしれない。
アートをめぐる旅
瀬戸内交際芸術祭 2013
夏:7月20日(土)~9月1日(日)
秋:10月5日(土)~11月4日(月・祝)
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