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2013年7月24日 (水)

私見、宮崎駿の「風立ちぬ」

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 堀越二郎 堀辰夫 に敬意を込めて
というクレジットで始まる宮崎駿監督の「風立ちぬ」。とても素晴らしかった、感動しました。美しい飛行機を作りたい、という夢を一途に追いかけ、激動の時代をストレートに生きた天才エンジニア・堀越二郎。この主人公はゼロ戦を設計した有名な堀越二郎をモデルにはしているが、宮崎監督が創り上げた現実には存在しない人物だ。Photo
 日本は貧しく技術力も西洋列強に大きく見劣りする時代。関東大震災や世界大恐慌に端を発する取り付け騒ぎ、治安維持法や特高、スパイの暗躍、革命とファシズム・・・。こんな暗く閉塞感ただよう世相を、彼はせいいっぱい生きたのだ。
 夢をカタチにしようと飛行機設計に没頭する二郎と、不治の病にかかった菜穂子。彼らは自分たちに残された時間はわずかしかないことを、よくわかっていた。だから日常の瞬間瞬間をよけい大切にしたからこそ、こんなにも輝いたのでしょう。

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 この映画のキモは、イタリア人の飛行機設計家・カプローニ伯爵を登場させたことだと思います。時空を超えた夢の中での交流、という不思議な構成が効いている。カプローニはいわば二郎の導師、あるいは志を同じくする同志。もしかしたら宮崎監督の化身。彼の「飛行機は美しい夢だ、しかしその夢は呪われてもいる」という言葉(予言?)は、飛行機に限らずあらゆる機械、文明の進歩は両義性を秘めていることを言い当てている。便利さを生む一方、武器にもなり、環境も破壊する。まっすぐに夢を追う行為は、美しいけれど偏執狂的な危うさも伴うものだ。
 「創造的人生の持ち時間は10年。君の10年を力を尽くして生きなさい」と、カプローニに教えられた二郎。戦争が終わった後、また夢の中で再会したとき「君の10年はどうだっかかね。力を尽くしたかね」と尋ねられ、「はい、終わりはズタズタでした」と答える。美しい夢のカタチ=ゼロ戦やB29の残骸がたくさん散乱する原野。そこは終わりの場所であり、新たな希望のスタート地点でもあるのだ。
 「風立ちぬ」はいろんな観方ができる奥深い作品です。ここに書いたのは、そのうちのほんの一例にすぎません。この映画について、皆さまのご意見をお聞かせいただければ幸いです。

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