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2013年5月16日 (木)

圧倒的!ボロの美

Boro
 裂けた布、ほつれた生地、色あせた端切れ・・・これらが何層にも重ねられたどてらのような着物。あまりの存在感に打ちのめされました。これは浅草のアミューズ ミュージアム「奇跡のテキスタイルアート BORO」展で見た展示物。何世代もの長い時間と蓄積された手間の結晶は、苦労の跡がしのばれるといった単純な感想をはるかに超えたスゴミがある。
 なにせ美しいのだ。今まで世界中で見たどんな布製品よりも気高く美しい。「ボロは着てても こころの錦~」という歌がありましたが、これは錦以上に素晴らしい素材感と重みがあります。

Boro_2
 かつて北国・津軽地方の村では布はとても希少なものだった。一着の着物を何世代にもわたって着ることは当たり前。ほころびにはツギをあて、粗い麻布を重ね合わせ、刺し子で補強する。布団はなく、ワラを敷いた上にこれにくるまって親子が身を寄せ合って寝る。過酷な風土から身を守るために、こうせざるを得なかった生活の知恵。Boro_3でも100%実用のためだったにしても、一針一針に込められた家族への愛と生命の祈りが感動を呼ぶ美しさを生みだしたのでしょう。
 物質的には「貧しい」としか言いようがないけれど、エコを叫ばなければいけない現代よりある面では「豊か」だったのかもしれませんね。民俗学者・田中忠三郎がコレクションしたこれらの衣類は、重要有形民俗文化財として国から指定されているそうです。

AMUSE MUSEUM
常設展 奇跡のテキスタイルアート BORO
東京都台東区浅草2丁目34-3
Tel. 03-5806-1181

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