フランシス・ベーコンに囚われる
ピカソと並ぶ美の巨匠。没後アジア初の回顧展、とチラシにある「フランシス・ベーコン展」が、竹橋の東京国立近代美術館で開催されています。ピカソと並ぶかどうかはわかりませんが、20世紀を代表するアーティストであることは間違いありません。ガツンときました。
彼がインタビューに答えた言葉が会場に掲示されている。
こんなことが気になって仕方がないんだ。
どうやったら、まったく理性的でないやり方で
作品をつくることができるのだろう?
見た目の上だけでイメージをつくり直すのではなくて、
わたしたち自身が把握している
あらゆる感覚の領域をつくり変えたいんだ。(1962) 彼のもくろみどおり(?)、見る側の私たちも理性ではなく感性でもなく、もっともっと深い根源的な力で囚われるのが自然で素直な鑑賞の態度だと思う。奇怪、腐敗、不条理、恍惚・・・それら言葉では表せない圧倒的な感覚に包まれる不思議な体験。それが現代の「生」なのだ、と深く思い知らされる。
今回の展覧会は単なる回顧展ではなく、ベーコンの特徴である「身体性」にフォーカスした企画展です。ベーコンの独創性は他ジャンルのアーティストにも大きな影響を与えたという。土方巽とウィリアム・フォーサイスという日本と世界を代表する振付家・ダンサーによるパフォーマンス映像も鑑賞できますが、「身体性」の特徴がよく表現されていて見応えがありました。
もうひとつ、彼の言葉を。(解釈はご自由に)
17歳のときだった。
あの時のことは、ものすごく鮮明に覚えているよ。
道端の犬の糞を見て、不意に悟ったんだ。
そうか、人生ってこのようなものだとね。(1975)
東京国立近代美術館
フランシス・ベーコン展
2013年3月8日(金)~5月26日(日)
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