ここまで美しくなれる、ビル緑化
地球環境問題に関心を持つ人が、この10年でめざましく増えました。それはとてもいいこと。建築の世界でも屋根や屋上を緑化するのは、そんなに珍しいことではなくなった。都心部にできるショッピングモールには、屋上に緑のスペースがあるのはアタリマエ。それらの走りが、石井修さんによる目神山の住宅群だと思う。日本人の自然観と美意識を統合するオリジナリティあふれる芸術作品です。しかも30年以上も前の作品だからスゴイですね。エコ、自然との共生・・・ずいぶん時代を先取りしています。 屋根はこんなにがんばっているのに壁はどうでしょう。ツタの絡まるチャペルや甲子園球場、そこからあまり進歩がないんじゃないの? そりゃ壁は屋根と違って土をのせられないし、どう根付かせるかむずかしいのはわかります。だからと言って壁には植物を這わせるしかない、という固定観念は捨ててもらわないと新しいアイデアは浮かばない。そこで建築家や造園業者のみなさまに見ていただきたい写真がこれ。昨年の秋、マドリードで見かけた緑の壁です。通りかかったとき、一瞬にして目を奪われました。「なんじゃコレ! 山をそのまま町に持ってきたんか」。ざっと見ただけで40種類、いや50種類は下らない草木が茂っている。緑豊かな山の斜面がグンと垂直に立ち上がった感じ。やればできる、とは言うものの、ここまでやる情熱とエネルギーはハンパじゃない。これは立派なアートです。おそれいりました。
どうしてるのか近づいてみたけれど、よくわからない。壁面のコンクリートを凸凹に、つまり大小の植木鉢をいっぱい付けたような形状に仕上げ、そこに土を入れ苗や種を植えているようだ。何をどの位置に植えるか、色やカタチを考えて、成長のスピードも考慮して、となると頭がパンクしそう。スペインには天才的なガーデナーがいるのかもしれないが、こんな素晴らしいプロジェクトが実現したのは、やはり愛があったということだろう。街に対する愛、美しさに対する愛、自然に対する愛。こう書いていると、あれっ愛って狂気に似ているかも、と気づいた。そして愛でも狂気でもいいけれど、今の日本に必要なのはこれじゃないかとも思いました。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- トラ焼きは変異種である(2022.01.01)
- イニエスタの焼ヴィーフン(2021.11.05)
- クチナシの花の命は短くて(2021.07.01)
- 良き年になりますように(2021.01.01)
- 本来、サクラは秋に咲く !?(2020.11.29)
コメント