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2012年9月

2012年9月30日 (日)

六甲ミーツ・アート 2012 その2

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 景観をぶっこわすほどインパクトが強いカラフルな立体作品。これは六甲山上の芸術散歩に展示されたひとつ。六甲オルゴールミュージアムの中庭の池に面した塀や板張り通路や地面を利用して展示されるタン・ルイ(TAN Ru YI )さんの「中庭の宙」です。マレーシア・クアラルンプール生まれの作家さんだけのことはある、このドギツイまでの色づかいはプラスチックにしか出せません。よく見るとすごい数の洗濯バサミ! 大きいのは布団をほすタイプです。濃い茶色の木製の塀と植物の緑・・・ナチュラルカラーの世界に突如割り込んできたチープな人工色のかたまり。これが意外なことに快いのです。Photo_2
 制作の素材となる洗濯バサミの色も日本人では表現しえないアジアンな美意識。見慣れた常識を壊し、新しい見方を与えるのが現代アートの役割だから、この彫刻は十分成功しているといえます。落ち着いた風景を一変させ、目と脳を強く刺激し、建築物の新しい意味を考えさせる。たとえば室内のインテリアでも落ち着いたナチュラルカラーで統一すると、無難に趣味のよい部屋が出来上がりますが、それだけでは何か物足りない。もっと刺激がほしくなる。
 日常と非日常。自然の美と人工の美。環境と文明。さまざまなことに思いをはせさせる作品でした。

六甲ミーツ・アート
芸術散歩 2012

2012年9月15日(土)~11月25日(日)

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2012年9月27日 (木)

ヒヤシンス・ブルーの少女

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 先日ご紹介した「ターバンを巻いた娘」は、まさしくフェルメールの代表作を意図して描かれた物語でした。一方今日ご紹介する「ヒヤシンス・ブルーの少女」は、フェルメールの架空の名画を題材としています。
 縫い物の途中で手をとめ、窓から外を見ている少女・・・ 真珠のような目、蜂蜜色の頬、かすかに開いた口、そして少女が着ているスモックは、咲き初めたばかりのヒヤシンスのような濃い青だった。たとえ描き手がフェルメールだと証されなかったとしても、読み手は「ああ〜」と、納得し、そのミステリアスな世界にどんどんと引き込まれて行く。
 1枚の名画は、人々の感嘆の中で輝き続けながら、さまざまな所有者の手に渡って行きます。この物語がとても魅力的である一つの所以は、物語が歴史をさかのぼってゆくという、構成の妙にあると思います。
 現在からナチスの時代へ、さらに19世紀始めへ、オランダが歴史的な洪水にみまわれた1700年代へ、さらに1670年頃のデルフトに至って、その絵が描かれる瞬間へと、息を呑むほどの展開!
 それにしても「名画を所有する」と言う行為には、どんな意味があるのでしょう? いえ、本書に登場する人々が「ヒヤシンス・ブルーの少女」を手に入れた時はまだ、それが名画なのだという固定観念は少しもなかったのです。彼らはただその絵を一目見て感嘆し、我が身のそばに置きたいと願った・・・ そこには壁に飾られた絵を鑑賞するという至福の時間と共に、災害や、戦争や貧困といった厳しい現実社会がありました。そんな人々の営みの中で1枚の絵は時を重ね、やがて全世界を魅了する名画と呼ばれるようになる。
 って、どっこい! 「ヒヤシンス・ブルーの少女」は実在する作品ではなかったんだ・・・いやいや、その生涯に30数枚しか残さなかったというフェルメールの作品を、まさしくこの物語のようにひっそりと、人知れず所有する人物が居るのでは? そしてそれは、幸せな現実なのかどうか・・・ 深いブルーの闇の世界に誘ってくれるような不思議な名著。あなたもぜひ!
 そしてもうすぐ神戸にやって来るフェルメールをご一緒に楽しみましょう。もちろん、所有は出来ない・・・ あっは!

 ヒヤシンス・ブルーの少女
 スーザン・ヴリーランド/長野きよみ(訳)
 早川書房

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2012年9月24日 (月)

六甲ミーツ・アート 2012 その1

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 9月15日から11月25日まで、今年も六甲山の山上各所で「六甲ミーツ・アート 芸術散歩 2012」が開催されています。少し涼しくなってきたのでちょっと見に行ってきました。
 まず最初は、ポスターやチラシにも使われている加藤泉さんの木彫をご紹介しなくては。加藤さんはとても好きな作家さんの一人です。ヴェネツィアビエンナーレや国立国際美術館で油彩のタブローを見てすごく感動していたのですが、じつは彫刻作品は図版やネットの画像で見るのみで、実物はこれが初めて。(お恥ずかしい) Photo場所は六甲山高山植物園。緑の中に 5 作品( 6 あったかな?)がぽつぽつと展示されている。立体であることと木を粗く彫った質感があいまって、タブローよりずっとリアルというか生々しい生命力を表現している。リアルといっても加藤さん独自の抽象化された人間、あるいは生命体だ。いわば生も死も超越した根源的な生命=存在。
 そのうち全身の作品2点は草の上に横たわっている。目にした瞬間、死体か?とギョッとしたけれど、いやいやどうして力強いじゃないですか。よ~く見るとお腹から樹が生えている。もちろん樹が生えたのではなく、立っている樹に合わせて設置しているのだ。おさまった美術館ではなく自然の中の植物園ならではの効果的なアイデアと展示です。この生命体から新しい生命が樹というカタチをとって芽生えた、とも考えられるし、地球上の個々の生命体は大自然と一体なのだ、とも思索させる。またこんな自然の中に置かれたら木彫は風雨にさらされ、汚れたり腐ってきたり、そのうち朽ち果てるだろう。時間とともに変化していく様も、この作品のねらいなのでしょう。

六甲ミーツ・アート
芸術散歩 2012

2012年9月15日(土)~11月25日(日)

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2012年9月21日 (金)

ターバンを巻いた娘

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 「世界一有名な少女がやって来る・・・」六月に東京に滞在した時に、そんなキャッチコピーのポスターをあちらこちらで見かけました。そして少女は神戸にカミング・スーン。
 胸の高まりを押さえつつ、本棚からけいママが取り出した本。その表紙にはあの少女が!
 そう、世界一有名な少女・・・ 彼女はいったい誰なのか? 数々の謎に包まれた名画は、文学者にとっても創作意欲をそそられる題材なのでしょうね。
 イタリアの女性作家・マルタ・モラッツォーニによる短編集の中に、表題にもなっている「ターバンを巻いた娘」というフェルメールゆかりの物語があります。
 とあるオランダの画商が1枚の絵を携えてデンマークへと赴き、商談を成立させて帰国するという、ただそれだけのちっともドラマチックではない展開。そしてその絵がフェルメールのものだとも、かの有名な名画だとも証されないのに、最後にちらっとこんな記述があります。
 顔を四分の三ほどこちらに向けて、頭はターバンで束ねられ、耳に真珠をひとつ・・・ デンマークに渡ったその名画は、やがて時を経て画商の息子が引き取りに旅立つところで終わるのですが、格調高い文章の行間に作者の思惑と力量を思いっきり感じます。「さあ、あなたの目の前にあの絵が見えるでしょう? ターバンを巻いた娘があなたを見つめているでしょう?  彼女は何も語らず、それでもあなたは言葉を越えたメッセージを受け取るでしょう? もういい!もうたくさんってくらいに・・・
 ふう〜! パソコンの横に置いたこの本の少女が、ずっとけいママを見つめています。「助けてくれ! こんなつたない文章しか書けない私にお慈悲を・・・」と少女に懇願したくなる。
 残念ながら現在はすでに絶版だとか。いかんなあ〜、こんな名著が。どうしても読みたいって方はお助けマン・AmasonへGO!
 次回はフェルメール絡みの名著をもう一冊ご紹介します。

 ターバンを巻いた娘
 マルタ・モラッツォーニ著
 文藝春秋

 

 

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2012年9月18日 (火)

フェルメール、かな?

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 三宮センター街にあらわれた「真珠の耳飾りの少女」。よく見るとポストイットでできている。左にPoSt it ARTという文字も見えるでしょ。まもなく神戸市立博物館で始まるマウリッツハイス美術館展を盛り上げるために、ナガサワ文具さんが作られたようです。出来不出来よりもチャレンジすることに意味がある。立派にアートしてると思います。
  2000年の大阪市立美術館「フェルメールとその時代」展のときは確か「青いターバンの少女」だったと思いますが。それから10年あまり。またこの少女に出会えます。2004年に公開された映画「真珠の耳飾りの少女」でさらに有名になって、呼び名も変わりましたね。17世紀オランダの雰囲気がよく出た映像美と主演女優スカーレット・ヨハンソンの魅力が忘れられません。絵のモデルになっていた彼女がこちらを振り向いた瞬間に静止画になり、フェルメールの絵画に変わっていく。ピーター・ウェーバー監督の見事な演出でした。
 フェルメール以外にもレンブラントやルーベンスも、オランダ・フランドル絵画の至宝が見られる展覧会に期待しましょう。

神戸市立博物館
マウリッツハイス美術館展

2012年9月29日(土)~2013年1月6日(日)

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2012年9月15日 (土)

越後妻有トリエンナーレ 番外

Photo
 すみません、前回で大地の芸術祭はおしまいにしたつもりなのですが、写真を中心としたギャラリーを開いていた私としましては、やはり写真作品もご紹介しておかなきゃ! というわけで探検家・写真家である石川直樹さんの作品です。これが2回目のエベレスト(チョモランマ)登頂だそうです。神々しい山岳地帯のスチール展示、そして薄い酸素でしかも極低温と闘う石川さん本人を撮影したムービーの上映。Photo_2このエベレスト登山やシリアの戦場など我々が見ることのできない事実を伝える手段としては、やはり写真・映像に勝るものはない。その時たしかに展示室には外の暑気とは違う空気が流れていました。
 ここは旧・名ケ山小学校の教室や体育館を利用してオープンしたアジア写真映像館。今回は森山大道をはじめ日本と中国の写真家たちによる展覧会が開催されている。写真に興味をお持ちの方は、見に行かれたらいかがでしょうか。
 ではまた3年後、夏の越後でお会いしましょう。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年9月17日(月・祝)まで

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2012年9月12日 (水)

越後妻有トリエンナーレ その10

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 3年に一度の大地の芸術祭もあとわずかで終わります。もう一度行きたいと思っていましたが、やはり遠いですね、時間が取れませんでした。広大な里山いっぱいに約360点もの作品が配置されているのだから、あとからガイドブックを見て気づいたり、うっかり通り過ぎて見逃したりした作品も数知れず。ただこのアートの祭典がいいのは、期間が過ぎればハイ終わりではなく、ずーっと地域に保存される作品・施設も数多いということ。たとえば草間彌生の巨大な花のオブジェ「花咲ける妻有」は、2003年の作品ですが今も見られます。だから越後妻有へ行けば、いつでも鑑賞できる。そしてこれは、トリエンナーレが回を重ねるごとに作品数も増え、アートフェアとして充実していくことを意味しています。ね、この仕組みが素晴らしいでしょ!
Photo_2
 冬は豪雪に閉ざされるこの地域。そのぶん暑い真夏に繰り広げられる大地の芸術祭は、広い広いエリアを汗を拭きつつ駆けまわることにより、棚田やブナ林など日本の原風景に触れることができます。そして山村の文化を知り、雪国の生活を知り、おいしい食べ物に出会った人がまたこの地を訪れる。たんなるお祭りではなく、これを起爆剤として村おこし町おこしにつなげていく戦略がきちんとできている。地元の人たちもアーティストに協力して作品制作に参加したり、「おもてなし」という呼び方で観光客へのサービスや名産品の配布などを通じて積極的にイベントを盛り上げている。こんな越後妻有、これからも応援していきたいと思います。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

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2012年9月 9日 (日)

越後妻有トリエンナーレ その9

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 広いエリアに点在するアート作品の素晴らしさは、すでにいくつかご紹介してきたとおりです。では里山を走り回って、お腹がすいた、ちょっとノドが渇いた、というときのカフェやレストランはどうなのか。これがまた、すごくアートしてる。たとえばまつだい農舞台にある「カフェ・ルフレ」。一面のガラス窓から棚田を一望できるジャン=リュック・ヴィルムート作のレストランです。ここは天井、床、壁、テーブル、いす・・・すべて淡い水色で統一されている。まるで水の中に入ったか、あるいは宙に浮かんで漂っているか、朝靄に包まれたような不思議な感覚です。宇宙遊泳ってきっとこんな感じだろうなぁと思いました。写真は天井の一部です。
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 十日町エリアの現代美術館キナーレのレストラン&カフェ「越後しなのがわバル」。コンクリート打ちっ放しの建築に呼応するクールな空間です。マッシモ・バルトリーニの作品でもある現代アートのようなスペースで、特産のキノコや妻有ポーク、カルビタトマトを使ったお料理、そしてなんといっても魚沼産コシヒカリを本場で食す幸せは、何ものにも代えがたい。拠点施設のレストランでなくても、岩ガキやノドグロなど新鮮な魚介類がおいしい店や主人が自分で栽培したコシヒカリを売りにした町の食堂などがあちこちにあり、越後妻有はまさに美味の宝庫。冬もまた来たいと思わせます。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

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2012年9月 6日 (木)

レッドカラントのジャム

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 またまたジャムですか、けいママ? はい、またまたジャムです! こちらもご近所さんからブルーベリーと一緒にお裾分けしていただいたもの。
 レッドカラントはは日本名を赤フサスグリと言うそうですが、なんて可憐な、きれいな実なんでしょう! 胸に付ければ、ルビーみたい? 自然界は信じられないほど、美しいモノで溢れてる・・・。ちなみにブラックカラントという黒紫色の実は日本では黒スグリ、あるいは黒フサスグリ。いやむしろフランス語のカシスと言ったほうがポピュラーかも。これもご近所さんからの受け売り。
 栽培主のご近所さんは、「種がものすごく多いから、ジュースにしたほうがいいかも」と、レシピまで付けてくださったんですが、ホーローの鍋で煮詰めていくうちにジャムになっちゃったあ〜。
 でも確かにもの凄い大きな種が入ってますから、ブルーベリーとは違って、いったん裏ごししてから煮てゆきました。
 見とれるほどに鮮やかなジャムが、お日さまの光を受けてキラキラ。さっそくパンケーキを焼いて、トロ〜リと出来上がったばかりのレッドカラントのジャムを垂らしました。
 高原はもうすっかり秋・・・。 窓の外には去年庭に植えたブルーベリーの小さな苗木が風に揺れています。次はレッドカラントも植えてみたいな♪

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2012年9月 3日 (月)

高山植物の女王さま

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 空気は薄い、気温は低い。3,000m近くの高山。この夏は、岩と砂礫しかない厳しい環境に咲くコマクサに出会えました。夜明けの霧がサァーッと流れたあと、高山植物の女王さまは冷たい風の中でふるふると震えていらっしゃいました。可憐なピンクの花と白っぽい緑の独特な葉が美しいコマクサは、今年の夏の想い出。真夏だというのにあまりの寒さに歯をガチガチさせ、ウインドブレーカーからレインウェアまであるだけ着込んで強い風に身をすくませながら、じっとご来光を待ったあの日。下界の猛暑がウソのようでした。残念ながらその日は雲が出ていて、太陽は山からではなくその上の雲から出てきましたが・・・。思い立ったらサッとこんな山まで行けるのも、Photo_2信州ながわの楽しみのひとつです。
 さて暑かった今年の夏も、9月になればさすがに朝晩は少し過ごしやすくなりましたね。皆さまはどんな夏の想い出を作られたでしょうか。節電のかいあって電気は足りました。デンマーク生まれの100均には2回行ったのに、2回とも休業の張り紙!なんじゃこりゃ。長居公園ではカミナリ。南海トラフの巨大地震による被害想定の見直し。良いこともあれば悪いこともあるのが世の常だけど、人間の無力を思い知らされる自然災害はなるべく少なくあってほしい。コマクサのけなげな姿を見ていると、自然に立ち向かおうなんて思いあがった考えは捨てて、頭を垂れて生きていく美しさを見直そうと思いました。

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