« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »

2012年8月

2012年8月31日 (金)

越後妻有トリエンナーレ その8

Photo
 この夏、松之山エリアに出現した「オーストラリアハウス」。じつは2代目だ。木造民家を改修した初代は、昨年3月の長野県北部地震で全壊したそうだ。そうか、ここは東日本大震災の翌日に大地震が起きた長野県栄村の隣村。雪深い地域だから屋根に積もった雪の重みもこたえたのでしょう。そこで3年に一度のアートフェアに合わせて設計コンペが行われ、世界中から集まったアイデアから選ばれたのが、この作品。コンペの条件は「安くて、小さくて、頑丈」な防災建築。豪雪に耐えられるのはもちろん、震災からの復興の象徴となるような建築が求められたのです。

     雪と翡翠色の川をみて
     山の神を感じて
     わしらの子どもたちをみて
     わしらの苦悩をみて
     しっかりみて

         一緒にお茶を飲もう

 内部の可動式の壁にネオンで作られた作品のテキストは、地元・浦田地区の人々の話を題材にしているという。Photo_2過酷な自然の中で生きる人々がはぐくんだ生活文化に敬意を表している。
 シンプルでモダンな三角形の屋根は、除雪のしやすさを意図して。伝統的な杉板の外壁は、まわりの自然環境や村落の家々との調和を考えて。日豪合作の未来の民家が誕生したのかもしれないね。アンドリュー・バーンズ・アーキテクが作った文化交流の拠点でもあり、オーストラリアのアーティストが滞在して創作活動をしています。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月28日 (火)

越後妻有トリエンナーレ その7

Photo_7
 うん? よく見ればカメ? あっ、向こうはウサギだ! この作品、ウサギもカメもすべて時計の部品でできている。ウサギとカメ、時計、時間・・・イソップ物語じゃないですか! そして時間に縛られる現代人、時計に振り回されている我々。いまだに競争の呪縛から抜けられないのでしょうか。こんな皮肉とユーモアが楽しい作品は、二十数名の若手アーティストが平面から立体までさまざまな手法で表現した「里山アート動物園 2012」からピックアップしました。まつだい雪国農耕文化センター「農舞台」の室内外で展開されています。
Photo_9
 外の芝生にはヒツジが6匹、ヒツジが7匹・・・。黒い顔と足、そして毛糸に紡がれようとしている白い線で表現されている。目に見えない神の手によって紡がれるように、空中に消えていく白い線。ご覧のようにヒツジのカタチを良くとどめているものから、紡がれているうちにほとんど体が無くなっているものまで、さまざまな状態。それらは私たちに人間の欲望あるいは身勝手を強く思い起こさせて、とても悲しい気分にさせる。
 これらはまだ若い芸術家による作品ですが、なかなか考えさせられる作品や見ごたえのある作品がそろっています。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月25日 (土)

越後妻有トリエンナーレ その6

Photo_3
 とても興味深い河口龍夫さんの「未来への航海」は、中里エリアのJR越後田沢駅の横にあります。明るい黄色の船が専用の家に鎮座ましましている。船上ではピアノ線に突き刺された無数のハスの実が揺れている。ピラミッドの中に納められた、王が天上の世界へ航海するための船を連想させます。縄文時代からよみがえったハスの長寿とあいまって、永遠の時空を超えて旅しながら生き続ける生命のパワーや希望を表現しているように、私は感じました。この船、もともと富山湾で使われていた船を漁師さんから譲ってもらったものだそうです。Photo_4
 この建物はアトリエ・ワンと東京工業大学塚本研究室による作品「船の家」。シンプルな納屋の形で木の骨組みだけ、という造り。太陽の位置によって差し込む光と影が刻々と美しい模様を描く。目に痛いほど鮮やかな黄色の船を納める“美術館”はいっさいの装飾を排した素朴な白木。これが年を経るにしたがって、いい味を出してくるのでしょう。いつまでも色あせない黄色の船体との対比が、また違う面白さを主張し出すのだろう。また何年か後に訪れて、時間の持つ不思議な感覚をじっくり味わってみたい気がしました。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月22日 (水)

ブルーベリーのジャム

 Photo

 神戸・栄町の「ギャラリーPAXREX」をクローズして早くも一か月。皆さまへの正式なご報告やホームページのリニューアルやら「あれもせんなん、これも・・・」の状況の中、ただ今信州に滞在中であります。まあ、暑いし、ひろパパもけいママもええほど年だし、のんびり気ままにって具合でご勘弁いただきましょう。
 六年間あまり、晴れの日も雨の日も地下空間のギャラリーにこもっていた店主は、真っ黒に日焼けして、虫に刺されまくって、薪割りや草引きの労働に励んでおりまする。
 そしてけいママは相変わらず、ジャム作り・・・。 こちら信州のご近所さんが届けてくださったブルーベリー。「さっさと穫ってしまわないとスズメバチが来る・・・」そうで、なんと摘みたてをどっさり2kgも!頂戴しちゃいました。
 小さなキッチンから風に乗って運ばれて行くブルーベリーの甘酸っぱい香りを、お届けできなくて残念。
夕食にはたっぷり煮上がったジャムを、フライパンでソテーした豚肉に付けて食べました。
 信州の夏は、高原野菜や果物を始め他にも美味しいものがいっぱい! アートなシーンと美味しいシーンを満喫して、鳥たちのさえずりの中、日は暮れて行きます。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月19日 (日)

越後妻有トリエンナーレ その5

Photo
 ご存じ、ジェームス・タレルの作品「光の館」は川西エリアに。伝統的な雪国住宅のような作りですが、随所にタレルならではの光を使った表現が見られます。屋根がスライドして四角く開いた穴から見える空の色の変化を、畳に寝転んで眺めるのは、お決まりの大技。ちょっと残念なのは、入場時間が5時で終わるので、夕方から薄暮へ、さらに夜へと変わっていくいちばん美しい変化が見られないこと。直島の地中美術館のような閉館後のナイトツアープログラムがあれば、もっと楽しめるのに・・・。
 案内係の方にその話をすると、「大地の芸術祭が終わった後に、また宿泊に来てください」とのこと。そうです、この光の館は2ヶ月前から予約を受け付け、宿泊ができるのです。Photo_2
料金は20,000円プラス 一人当たり 3,000円だそうな。これは破格に安いと思いませんか? あのジェームス・タレルの作品を占有して、夕景や星空を眺める。世界中探してもありません。設備の整ったキッチン、調理器具や食器もそろっています。お風呂やトイレもタレルのアイデアが素晴らしく、独創的で幻想的な光体験ができます。ではいつがいいか? この地方は有名な豪雪地帯だから、冬がいいかなと言うと、「冬は屋根の開閉ができません」という返事。たしかに、そりゃそうだ。とすると紅葉の秋がベストかもしれない。どなたかご一緒にいかがですか? クルマ 2台ぐらいで行くのが楽しいかな、と思いますが・・・。ちなみに定員は12名( 3室)です。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月16日 (木)

越後妻有トリエンナーレ その4

Photo_3
 絵本と木の実の美術館は、十日町エリアの南西部・鉢集落にあります。2005年春に廃校になった真田山小学校が、2009年のトリエンナーレで田島征三さんの作品になった。その作品は最後の在校生3人の冒険物語を核に、小学校がまるごと絵本になったユニークなもの。そこには長い間のいろんな人の記憶が封じ込められている。理科室、音楽室、給食の想い出・・・。流木に彩色して、住民みんなが手伝ってできた人形(?)が、ストーリーにそって 1階にも 2階にもいっぱい置かれている。子供からお年寄りまで楽しめるエンタテインメント施設です。Photo_6
 今回はそれに松本雅隆さんの「どうらくオルガンちちんぷいぷい」という、これまたユニークな作品が加わりました。竹で作った建物がパイプオルガンになって、奇妙だけどオモシロく楽しめる作品になっていました。この構想と建物が発する音世界の制作は、ロバの音楽座とカテリーナ古楽合奏団を主宰する松本雅隆さん。もちろん観客も音楽に参加できる仕組みです。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月13日 (月)

グリーントマトのジャム

 Photo

 今や世界中に数千種類のトマトがあるそうな。今日は馴染みの八百屋さんで青いトマトを買いました。「グリーンゼブラ」と言う品種だそうで、青いけれど完熟! 未熟な青二才ではないのだそうな。この時期真っ赤に熟したトマトほど魅力的な野菜はないのだけれど、緑と黄緑の縞模様の涼やかさにググッと来た!
「加熱してから食べるのが基本やねえ〜。炒めたり、フライにしたり・・・」と教えて頂いたのですが、写真を撮って眺めているうちにジャムにしたくなった。
 細かく切って、ちょっと一切れ頬張ってみると、なんとしゃきっとした歯ごたえ! ほどよい酸味がこれまたいける! うっかりそのまま食べ続けたくなったのですが、お砂糖とレモン汁をまぶしてコトコト煮込むと
トマトジャムの完成です。当然グリーンのジャムです。赤ではありません。
 「黙って食卓に出したら、みんなわからないだろうな、まさかトマトだなんて・・・」。で、味のほうは? う〜ん、どこか遠くでトマトの味がする? でもあくまで爽やか系の、凛々しいトマト君ですね。確かにフライにしても美味しそう。顔をしかめるほど酸っぱくはないはずです。そのうちもっとメジャーになるかもしれないグリーントマト。お試しあれ。

Photo_2

 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月10日 (金)

越後妻有トリエンナーレ その3

2
 川西エリアのナカゴグリーンパークに、作品「越後妻有レインボーハット2012」はありました。木の枝で支柱を組んでテント地をかぶせて泥を塗る。アフリカの泥の家のような独特な質感で、大きなドーナツ状に大地をおおうシェルター。ん、どこかで見たことが・・・。ちょうど作家の関口恒男さんがいらっしゃったので、お話を伺うことができました。「去年の秋、神戸ビエンナーレに出品されていませんでした?」「はい、もっと規模は小さかったですが・・・」。ということで、去年もお話しさせていただいたことを思い出しました。去年は見に行った日がお天気が悪く、関口さんの作品の面白さを目にすることができず、お話から想像するしかありませんでした。今回は真夏の太陽サンサン、これ以上ない条件です。Photo_2
 ドーナツ状のシェルターの中庭に水を張ったタライを置き、そこに三角形の鏡を立て掛ける。水と鏡がプリズムの効果を生んで、虹色のヒカリがシェルターの内部に現れる、というもの。太陽の位置が刻々と変わるので、関口さんは大忙しで鏡の角度を変えています。「朝や夕方は太陽がもう少し横に動くので、もっとラクです」ということですが、暑いなか作家さんも大変です。
 虹を見ると童心に帰る。誰もが夢見心地になる。関口さん、これからも各地の人々に幸せな夢を見せてください。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

| | コメント (1) | トラックバック (0)

2012年8月 7日 (火)

越後妻有トリエンナーレ その2

Photo_2
 松代エリアの星峠には「脱皮する家」がある。2006年に日本大学芸術学部彫刻コース有志が作った名作だ。空き家になった古い民家の壁、床、柱、天井など、あらゆる木の部分をすべて彫刻刀で細かく刻んで、地模様のように浮かび上がらせている。時間と根気が生み出した労作! 写真ではそのすごさはお伝えしにくいのが残念ですが、徹底的にやりとげた汗と涙の結晶は限りなく美しく感動を呼ぶ。長い年月の間にススや汚れで黒ずんだ木肌に彫刻刀を入れることにより、下から新鮮な木の色があらわれる。まさに脱皮! いやあ脱帽! 日芸、やるじゃないか! 人気の作品だというのもトーゼンです。
 日芸彫刻コースはこの後もこの地域にかかわり、2009年には隣の空き家を「コロッケハウス」として再生。家の外も内も金属の粉を吹き付けて、グレーのオブジェに作り直しました。脱皮が削るなら、コロッケは衣をつける、というわけ。そして今回2012年には「脱皮する家」の裏に鉄板を敷いて音楽や演劇の舞台を作っていました。ここでイベントも行われるそうです。Photoそうそう、ここの売店で彫刻刀で刻んだ「脱皮する?下駄」をオミヤゲで買って帰りました。これを履いて「脱皮」したいものですね。家の写真では削り跡が見えにくいので、同じ手法で1点1点手作りされた下駄の写真もアップしておきます。ご覧ください。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年8月 4日 (土)

越後妻有トリエンナーレ その1

Photo
 3年に一度、真夏のアートのお祭り「越後妻有トリエンナーレ」が始まりました。正式名は、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012。ちと長い? 新潟県の十日町市と津南町にまたがる6エリア、なんと東京23区より広い里山全体が美術館になるユニークな美術の祭典も、今回で5回目。過去の名作や話題作もたくさん保存されているので、新作も含め見どころいっぱいです。それらを炎天下、熱中症に気をつけつつ山や野原、棚田や河原を駆け回って現代アートを見物するしかけです。ギャラリーPAXREX閉廊の後片付けも終わったので、さっそく行ってきました。では何回かに分けてご紹介しましょう。
 最初はクリスチャン・ボルタンスキーの「No Man's Land」。メイン会場でもある十日町市の越後妻有里山現代美術館 [キナーレ] の広い中庭で展開されるインスタレーションです。全面に敷き詰められているのは、おびただしい数の古着。それをクレーンが摘み吊り上げ落下させる。えんえんとその繰り返しです。そう、巨大なUFOキャッチャーの出現。作品名が意味する「誰もいない土地」からは、東日本大震災や妻有も被害を受けた長野県北部地震による多数の死者を思い起こさせる。古着はかつて生きていた人たちの生命のぬけがら。それぞれ名前があり個性があった人たちも、大災害や戦争で亡くなると何万何千人という数字に変わり、やがて忘れ去られていく。個性を色濃く残す古着が積み上がった山の中から、つぎつぎと摘まんでは落とし、私たちの目にさらし新しい空気に触れさせるボルタンスキーの作品。単なる数字ではなく一人一人の記憶をとどめる大切さを、痛烈に訴えかけてきます。

大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012

2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2012年7月 | トップページ | 2012年9月 »