越後妻有トリエンナーレ その1
3年に一度、真夏のアートのお祭り「越後妻有トリエンナーレ」が始まりました。正式名は、大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2012。ちと長い? 新潟県の十日町市と津南町にまたがる6エリア、なんと東京23区より広い里山全体が美術館になるユニークな美術の祭典も、今回で5回目。過去の名作や話題作もたくさん保存されているので、新作も含め見どころいっぱいです。それらを炎天下、熱中症に気をつけつつ山や野原、棚田や河原を駆け回って現代アートを見物するしかけです。ギャラリーPAXREX閉廊の後片付けも終わったので、さっそく行ってきました。では何回かに分けてご紹介しましょう。
最初はクリスチャン・ボルタンスキーの「No Man's Land」。メイン会場でもある十日町市の越後妻有里山現代美術館 [キナーレ] の広い中庭で展開されるインスタレーションです。全面に敷き詰められているのは、おびただしい数の古着。それをクレーンが摘み吊り上げ落下させる。えんえんとその繰り返しです。そう、巨大なUFOキャッチャーの出現。作品名が意味する「誰もいない土地」からは、東日本大震災や妻有も被害を受けた長野県北部地震による多数の死者を思い起こさせる。古着はかつて生きていた人たちの生命のぬけがら。それぞれ名前があり個性があった人たちも、大災害や戦争で亡くなると何万何千人という数字に変わり、やがて忘れ去られていく。個性を色濃く残す古着が積み上がった山の中から、つぎつぎと摘まんでは落とし、私たちの目にさらし新しい空気に触れさせるボルタンスキーの作品。単なる数字ではなく一人一人の記憶をとどめる大切さを、痛烈に訴えかけてきます。
大地の芸術祭
越後妻有アートトリエンナーレ2012、
2012年7月29日(日)~9月17日(月・祝)
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