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2012年6月15日 (金)

素晴らしき犬島の生活

03
 瀬戸内海の犬島は銅の製錬所跡や採石場跡が残る人口50人あまりの島。瀬戸内国際芸術祭2010の会場にもなったアートの島です。
 でもこの作品の世界観は、いま流行のアートプロジェクトとは一線を画しています。本田かなさん独自のデジャブーかと錯覚するようなレトロ感覚が満開です。軒先にはテント地の日除け、柱にはなんと御守りが。ここはちょっとさびれた町の小間物屋さん。店内には洗剤など日用品が並び、島の人々の生活を支えている何でも屋さんのような感じです。ガラス戸には表の道路や石垣が映り込んでいる。熱い真夏の昼下がり、ちょっとまどろんだ時に見た夢に現れる情景。あるいはふっとよみがえった幼い頃の想い出。実在と映り込み、現実と虚構。かなり複雑な手法で夢とうつつの境目を表現しています。
 このような世界を作り上げるのは、本田さんが無意識に(あるいは意識的に)グローバリズムや進歩至上主義の危うさを知っているからではないだろうか。サイエンスも社会システムも、人間の知恵や身体感覚で理解できるレベルからあまりにも遠くへ来てしまった。現代的なニッポンでもなく有名観光地でもない下町や田舎を好んで撮るのは、元々どこにでも存在していた美徳あふれるフツーの日本を知っているから。小人のような外人さんの人形は、そんな良さを再発見しに全国を旅する作家の分身。じっくり見ていると、いろんな空想妄想が駆け巡り深い思考を誘発する、きわめて刺激的なアート作品だとあらためて感心します。こんな素晴らしい本田かな展は、17日(日)までです。

ギャラリーPAXREX
本田かな写真展「歩く地図」
5月26日(土)〜6月17日(日)
11時〜19時 水曜定休

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