生成し、消滅し、転生する
ここは世界の果て、あらゆるものが流れ落ちる滝。あるいは高山の峰々から湧き出る雲。宇宙のどこか遠く、暗黒物質から生まれ続ける星々・・・。なにか得体のしれない巨大なエネルギーが生成し、消滅し、一瞬もとどまることなく動き続けている、そんな生命や宇宙の状態を描いているように感じるこの作品「りんね」。似て非なるものでありながら、なぜかミケランジェロの最後の審判を彷彿とさせます。1mにも満たないサイズながら、それぐらい大きなスケール感がある。
描き初めには全体の構想はなく、自分にもどんな作品が出来上がるのかわからない。しかし描くほどに「降りてきて」、描き進めていくことができるとPECHUさんは言う。たぶんあまりにも集中することにより、無心になって自分自身も気づいていない魂の奥底の声をなぞっているのではないか。そしてそれは創造の神が降りてきた、というしかない現象かもしれない。わずか0.1mmの極細ボールペンで長い時間をかけてきわめて緻密に描き込むという作業は、千日回峰で悟りへ至る方法に似ていると思う。PECHUさんの宇宙シリーズは、いわば心の修行の足跡。私たちが深く感動するのは、ただスゴイ、ウマイだけではなくそんな描き方からくる奥深い熱情が伝わってくるからでしょうね。
ギャラリーPAXREX
PECHU作品展 「さいかい」
4月21日(土)~5月15日(火)
11時~19時 水曜定休
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