キャベツに見る春の夢
遠く海を見下ろす高台で、満開の桜を従えて鎮座ましますのはキャベツなのです。確かに、そう言われれば芯のところから芽が出て、葉が出て・・・あたたかい春の日差しの中、うとうとまどろんでいるキャベツなのだ。のどかなのどかな昼下がり。ドビッシーの調べを聞いているような、心からとろけていきそうな、この心地よさはなんなのだろう? ラファエッロの聖母子像を見たときの感動に匹敵する、と言えば褒めすぎだろうか。
母の胸に抱かれた大きな安心や、いつまでも続く平和な時間、深い愛で結びついた絆、これら何物にも代えがたい幸せは、言葉でいうには簡単だが絵画などビジュアルで表現するのは極めてむずかしい。過去の画家や映像作家たちも幾度となく挑戦してきたけれど、うまく成功した例は少ないと思う。そんな中、この升本さんのキャベツは数少ない成功例の一つでしょう。もしかしたら男性の論理ではこんな概念を表現するのは不可能で、女性の視点からしか生まれないのかもしれません。この素晴らしい作品、現物はPAXREXでご覧ください。
ギャラリーPAXREX
升本真理子 写真展
SPROUT 萌芽
3月1日(木)~3月20(火・祝)
11時~19時 水曜定休
| 固定リンク
「展覧会情報[2012]」カテゴリの記事
- エル・グレコより宮永愛子(2012.12.10)
- お祝いのお花(2012.11.19)
- 祝 横尾忠則現代美術館オープン(2012.11.15)
- お楽しみ、ミュージアムグッズは?(2012.10.24)
- 六甲ミーツ・アート2012 その5(2012.10.18)
コメント