若者の反乱と正義
モルテザ・アリアナさんの作品の中で、とりわけ印象深いのがこの「eure wirklichkeit(あなたの現実)」。2008年秋に開催したモルテザさんの個展「Decayー壊れてゆく」で、ポスターのメインビジュアルに使いました。消え入りそうな影の薄い若者像、私にはこれが受難を一身に引き受けた現代のキリストに見えてしかたがなかったのです。だからポスターのデザインでは、展覧会名のDecayと作家名Morteza Arianaを左右に配して磔刑像のイメージにしたのですが、想いが伝わったかどうか・・・。
モルテザさんのこれらの作品は、人間関係が壊れ、社会が壊れ、そして結果として個人まで壊れてゆく現代を憂え、なんとか立ち直って再生してほしいという願いを込めて創ったという。当時から存在した就職難や格差、年金など若者を取り巻く状況がさらに悪化し危機的になっている今、もっとこんな視点のアートが出てきてもよさそうです。
昨年からやっとウォール街で大規模なデモが行われたり、世界各地で若者が声を上げ始めましたが、日本でもあきらめていないでもっともっと主張するべきだと思います。このままでは年金制度の変更や増税に反対する声ばかり高く、年寄りが得をして若者や子供は割を食う社会システムがいつまでも続いてしまいそう。先の短い年寄りに将来の社会や国の姿を任せても、彼らは責任を取ることができません。だからどうしても他人事のような無責任な意見・発想しかでてこない。将来を担う若者には、自分たちとその子供たちのことを考え行動していく責任があるのではないでしょうか。そして年寄りは口出ししない、それが正義というものでしょう。既得権でがんじがらめの既成のシステムでは日本の未来はありません。
ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休
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