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2012年2月

2012年2月27日 (月)

升本真理子さんの「SPROUT」展

Egara1_2 3月1日(水)から升本真理子 写真展「SPROUTO 萌芽」が始まります。タマネギやニンジン、サツマイモなどキッチンの片隅で忘れられた野菜の切れ端から芽生えた新しい命を、海辺や高山などに持ち出して撮影。ささやかな芽生えを大きな風景と対峙させることにより、今まで見たこともない新しいイメージを創造しました。
 この作品も松島湾に浮かぶ小島、あるいは岩峰に生える木々のようじゃありませんか。このようにして升本真理子さんは、ささやかな野菜の萌芽に目を留めただけではなく、そこに再生のドラマを発見し、さらにそれを宇宙的な規模での永遠性の哲学にまで高めることに成功したのです。
 生命はどんな過酷な状況にあっても、明日に向かってひたすらに生き抜いていく。このように途切れることなく続く命の営みは尊く美しい。芽生え、それはくじけそうになる私たちを励ましてくれる希望の歌でもあるのです。3.11から1年。これらの作品に込められた再生・復興の思いが、神戸から東北の人々へ届くことを祈って開催する「SPROUT萌芽」展、間もなくスタートです。

ギャラリーPAXREX
升本真理子 写真展 
SPROUT 萌芽

3月1日(木)~3月20(火・祝)
11時~19時 水曜定休

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2012年2月24日 (金)

もう春?六甲の雪景色

Photo
 もうすぐひな祭りだというのに、なんてグチっていたらやっと暖かくなりましたね。でもこの冬の厳しい寒波は近年あまりなかっただけに、皆さまもかなりこたえたのではないでしょうか。しかし北陸の豪雪地帯や東北の被災地のことを思えば、温暖な神戸で縮こまっているわけにはまいりません。というわけでギャラリーが休みの日には裏山の六甲山へ。ケーブルやロープウェイが何本も通りドライブウェイが張り巡られた観光地、というイメージですがそこは自然のこと、バカにしているとえらい目にあいます。多くの登山ルートが複雑に走り、一度ケモノ道に迷い込むと元に戻れなくなる。そのうち日が暮れて・・・。毎年こんな遭難者が何人か出ていますからご注意ください。
 500mから900mの頂が連なる六甲山系。山上はだいぶ気温が低いので冬場は池に厚い氷が張っています。そしてこんな幻想的な雪景色も見ることができる。雪の白はすべての不浄を覆い隠し、雑音も吸い込んで静寂をもたらせてくれる。まるで藤井保さんの「カムイミンタラ」シリーズの八甲田のよう。もっともこの雪も陽が出て気温が上がるまでの短い命、すぐに現実の世界に引き戻されるのですが、神戸のすぐ裏山でこんな景色に出会えるなんてうれしい限りです。雪が珍しいのでつい子どものようにはしゃいでしまって、スミマセン。北国の方にはほんとうに申し訳ないのですが、四季のある国にうまれた幸せを感じています。
 梅の開花も平年より遅れぎみですが、桃の節句から桜の季節へと、これから急速に季節はめぐっていくことでしょう。今この瞬間の美しさをしっかり記憶に刻んでおきたいですね。

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2012年2月21日 (火)

若者の反乱と正義

Eure_wirklichkeit モルテザ・アリアナさんの作品の中で、とりわけ印象深いのがこの「eure wirklichkeit(あなたの現実)」。2008年秋に開催したモルテザさんの個展「Decayー壊れてゆく」で、ポスターのメインビジュアルに使いました。消え入りそうな影の薄い若者像、私にはこれが受難を一身に引き受けた現代のキリストに見えてしかたがなかったのです。だからポスターのデザインでは、展覧会名のDecayと作家名Morteza Arianaを左右に配して磔刑像のイメージにしたのですが、想いが伝わったかどうか・・・。
 モルテザさんのこれらの作品は、人間関係が壊れ、社会が壊れ、そして結果として個人まで壊れてゆく現代を憂え、なんとか立ち直って再生してほしいという願いを込めて創ったという。当時から存在した就職難や格差、年金など若者を取り巻く状況がさらに悪化し危機的になっている今、もっとこんな視点のアートが出てきてもよさそうです。
 昨年からやっとウォール街で大規模なデモが行われたり、世界各地で若者が声を上げ始めましたが、日本でもあきらめていないでもっともっと主張するべきだと思います。このままでは年金制度の変更や増税に反対する声ばかり高く、年寄りが得をして若者や子供は割を食う社会システムがいつまでも続いてしまいそう。先の短い年寄りに将来の社会や国の姿を任せても、彼らは責任を取ることができません。だからどうしても他人事のような無責任な意見・発想しかでてこない。将来を担う若者には、自分たちとその子供たちのことを考え行動していく責任があるのではないでしょうか。そして年寄りは口出ししない、それが正義というものでしょう。既得権でがんじがらめの既成のシステムでは日本の未来はありません。

ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休

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2012年2月18日 (土)

マルコの仮面カーニバル

Carnavare
 11日に始まった今年のカーニバル。21日の最終日に向けてヴェネツィアはさぞ盛り上がっていることでしょう。でも日本と同じく今年のヨーロッパは大寒波が来て大変なようです。まわりじゅう石と水に囲まれたヴェネツィア、もともと底冷えのする冬の寒さはハンパじゃありません。マルコ・マイアンティの作品でも見られるように、仮面で顔を覆うヴェネツィア・カーニバル独特のコスチュームは、寒さ対策にもいいかもしれませんね。ただし厳しい寒さもカーニバルの頃まで。ヴェネツィアではカーニバルが終わると春の気配が漂いだすと言われています。
 カーニバルは日本語では謝肉祭。復活祭の前46日間は肉や卵、乳製品などを控えて、いわば断食のようなことをするので、その前にいっぱい飲み食いする習慣ができたそうです。イタリア語のcarnevale(カルネヴァーレ)は、carneとvaleでまさに「肉よ、さらば」という言葉。ヴェネツィアの仮面はカーニバル期間に素性を隠し、飲み食いどんちゃん騒ぎをするためのもの。身分制度が厳格だったころ、仮面をつければみな平等とばかり、しがらみを忘れて夜通しハメを外して騒ぎまくった名残です。ちなみに仮面舞踏会はヴェネツィア人の発明。その後、ヨーロッパ各地に広がり大流行したそうです。

ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休

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2012年2月15日 (水)

海底のような深いブルー

Nakata09
 中田明さんの彩色菜図シリーズから、静けさを湛えた深い青色の作品をご紹介しましょう。まるで海底にいるかのような気持ちになる不思議な色。このブルーは銅を腐食させて生まれた色です。絵の具で塗ったような均一な青ではなく、腐食という自然現象にまかせた濃淡まだらな青が、思わず手に取りそうになる存在感にあふれています。写真の弱点であるツルッとした平面性とは明らかに違う、物質としての強さや重量感がそこにはある。
 銅の粉をドロドロにといて天ぷらの衣のようにコスモスに塗り、銅板の上において腐食させる。薬剤を塗って腐食を早めるそうですが、手間暇がかかる作業にちがいありません。そして腐食の度合いを見ながら撮影のタイミングをはかる。おなじ緑青を使ったシリーズの中でもこの作品はかなり錆が進行した状態ですね。まわりに敷き詰められた黒っぽい砂も、よく吟味されていると思う。一つ一つの小さな砂粒が斜光に浮かび上がって、銅板をくっきりと引き立てる。8×10の大判で撮り、しかも密着で焼いて仕上げる中田さんのこだわりが十分見て取れる一枚です。ここの画像では見えませんが、じつはこれらの作品、一点一点フレームも中田さんの手作り。中の写真と同じく銅板を腐食させ、それを折り曲げてフレームにしているのです。とうぜん内と外の一体感は見事です。
 このような独特の存在感や物質感を画像や言葉で説明するのは、ほとんど不可能です。やはりPAXREXで実物をご覧いただくしかないでしょう。

ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休

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2012年2月12日 (日)

カーニバルが始まりました

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 有名なヴェネツィアのカーニバル、今年は2月11日(土)に始まって21日(火)まで。きっとまた世界中から観光客がいっぱい集まっているのでしょうね。ここのお祭りの特長は誰でも参加できる、という点。だから毎年このカーニバルを楽しみに、一年かけてコスチュームを用意してヴェネツィアにやって来る熱烈なマニアが多数います。何をするかというとなんとなく街を歩くだけ。数百年変わらない歴史的な街並みの中をただ優雅に歩く。そして自分が歴史上の主役になった気分を楽しむ。観客に見られることで快感はますます高まる、というわけです。
 そう、ここヴェネツィアは劇場都市。演じる側に回るか、観る側に甘んじるか。同じアホなら踊らにゃそんそん、と衣装を凝らした方々にはカメラを向けるのが礼儀というもの。彼ら彼女らはカメラに気づくとサッとポーズをとってくれる。サービス精神というより、自分たちの喜びのため。カーニバルに行かれる方はぜひ写真を撮ってあげてください。
 マルコ・マイアンティがこれらの作品を撮ったのは、夜明け前の薄暗いときからの数時間。一般の観光客がまだホテルから出てこない早朝だそうです。この時期いろんなお屋敷で一晩中開かれている仮面舞踏会も終わって、サンマルコ広場へ出てきた仮面の人々。まだ見物客がほとんどいなくて撮影条件はバッチシ。 さすが地元のイタリア人フォトグラファーならではの情報力です。もちろんその腕は確かでセンス抜群! 遠い時代の夢の中からあらわれたような、妖しく美しく決まった仮面の人々。PAXREXで本場ヴェネツィアのカーニバルの雰囲気をとくとお楽しみください。

ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休

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2012年2月 9日 (木)

モルテザさんから日本人へ

Zartheiten_und_schauder_2
 ドイツ人アーティストのモルテザ・アリアナさんの作品はユニークだ。ご覧のようにとても洒落ていて現代的だ。写真という手法を使っているが、自分がイメージする世界を表現するための道具としてカメラを使っているにすぎない。だから「露出は?」「構図は?」なんて細かいディテールに頭を悩ませる日本的常識とは一切無縁で、まさに現代アートそのもの。つまり「いい写真とは?」と考えるようでは古い写真の殻から脱皮できない。「いい表現とは?」あるいは「いいアートとは?」といった大きな視点で取り組まないと、写真は単なる記録の手段に終わってしまうおそれがある。モルテザさんの作品は、日本の写真界にそんな警鐘を鳴らしてくれている。
 この作品は「甘美と恐怖 zartheiten und schauder」。個人が壊れ、人間関係が壊れ、社会が壊れていく現代日本を憂えて発表した『Decay 壊れてゆく』というシリーズの中の一点です。でも決して暗く悲しい表現ではありません。大好きな日本が立ち直り、もっといい方向に進んでいくように願った、ある種の応援歌だと彼は言う。うっとりする甘美とぞっとする恐怖が薄い紙の裏表に同居するような不安定な意識は、人と人の関係が疎遠になってしまった都市生活者にとっては日常のもの。それをしっかり意識したうえで、積極的に新たな人間関係を築いていくスタート地点にしてほしい。モルテザさんのそんな思いが伝わってきます。その一歩を踏み出す勇気が、いま私たちに問われているのかもしれませんね。

ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休

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2012年2月 6日 (月)

FIATとPIZZAの関係は?

Pizza
 最近、薪ストーブ導入でピザ作りに凝りだしたけいママ。腕前はまだまだですが、自慢のピザグッズがございます。
 ふ〜ん、なんでピザカッターとピザ台に「FIAT」の文字が?これはですね。何年か前に甥っ子が車を買い替えた際にサービス品として付いてきたそうなんです。が、「うちでは不要だから、あげるわ」ってわけで、イタリアバカのけいママの元にやってきました。Pizza_4
 明らかに「FIAT」社がロゴを入れて、「FIAT」を購入したお客様にオマケとしてプレゼントしていたのでしょう。見た瞬間、何てステキなオマケ!とけいママの目はらんらんと輝き、あれこれ想像してしまいました。
 ある日のこと、「FIAT」社では「お客に提供するオマケを何にする?」って会議が開かれました。出席者の一人が「そりゃ、イタリアと言えばピザじゃん?」とピザを食べながら発言して、誰かが「そりゃ、そうや! ではピザカッターとピザ台にしよう!」ってこれまたピザを頬ばりながら同意して、結局出席者はたくさんのピザを平らげて全員一致で賛成! 立派な木製のピザカッターとピザ台に、「FIAT」のスタイリッシュな文字が踊るオマケが誕生と相成った・・・(あくまでけいママの勝手な想像であります)
Pizza_3 しかし・・・いかんせん、日本の家庭でひんぱんにこんなん使うか? イタリア料理の頻度がこれでもかと言うほど高い我が家においてさえ、実は長年眠り続けていたこのグッズ、最近になってようやくしばしば登場するようになったのであります。
 でも、でも「FIAT」大好き! こんな楽しくて、センス溢れるオマケを作ってくれる会社って、そうそう無いよね? ピザを作る度に、このグッズを使う度にそう思う。
 ところで、実は甥っ子の買った車は「FIAT」では無いんです・・・なのに、なんでオマケがこれやったん?と、これまたあれこれ想像してしまうに・・・余ってたんかな?

 

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2012年2月 3日 (金)

黄昏のサン・ヴィターレ聖堂

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 イタリア北東部、エミリア・ロマーニャ州のアドリア海から少し内陸に入ったところにある古都ラヴェンナ。短い期間ですが古代ローマ帝国の首都だったことがあります。繁栄の後、ずうーっと衰退していったので幸か不幸か古い建築物がそのまま残っている。初期キリスト教建築、そして初期ビザンティン美術の傑作が、この小さい町にギューッと凝縮されているのは、まさに奇跡というしかありません。
 この写真はそれら貴重な文化遺産の中でも特に素晴らしいサン・ヴィターレ聖堂。赤松章さんの『ビザンティン美術への旅』(平凡社)に収録されている1枚。ルネサンス以降の化粧大理石で飾られた華麗な建築と比べると、質朴そのものの外観をしています。ところが一歩なかに足を踏み入れると、壁から天井までびっしり埋め尽くされた豪華絢爛たるモザイク画の見事さに圧倒されて言葉を失います。ローマ皇帝とそのお妃、そして家臣の人々の集合。キリストと聖者たちの物語。これら聖と俗の両方にまたがる壮大な壁画は、色ガラスや色の石を砕いて描いたモザイク画。平板なフレスコによる壁画と違って、細かい凹凸があるため光の当たり具合で微妙に印象を変える陰影に富んだ美術様式です。このモザイクの最上のもの、1600年ほど前の最先端美術が、この小さな町のわずか5つほどの建築内部で鑑賞できるのです。
 これからイタリアへ旅行される方は、奇跡の町・ラヴェンナをぜひコースにお考えくだい。ちょっと時間がとりにくいとお考えの方は、どうぞPAXREXで赤松章さんの作品をご覧ください。

ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休

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