内から発光するポピー
濃紺の闇にぼうっと輝く青い発光体。この世のものとは思われない、あまりにも幻想的な森雅美さんのポピーに見とれてしまいます。永く見続けると魂まで抜かれてしまいそうな美しさ。でも内側から光を発する花なんてありえない、でしょ。これは森さんの長年にわたる技術の追求といろんな工夫によって実現した表現で、一連の作品はイタリアの国立アリナーリ写真美術館にも永久保存されています。
これは写真が「記録するためのメディア」の時代では考えられない作品です。自分だけのイメージを表現する一手段として写真を使いこなす。つまり「表現の道具」としての写真、という考え方が生まれて初めて可能になりました。旅行に行って記念写真を撮る、というものとは同じカメラを使ってもまったく別物なのです。何をどう表現するかという自分独自のイメージが出来上がっているから、主体的にシャッターを切れる。そこにあるものが美しいから、おもしろいものに出会ったから、など被写体に対して受け身な姿勢ではどこまで技術の修練をしてもアート作品は撮れません。
いま、さまざまなアプローチでカメラを使ってアート作品を作ろうとする作家さんが、日本でも出てきました。記録だけの時代では写真はアートになりえなかったけれど、これからは期待が持てる。楽しみにしています。
ギャラリーPAXREX
コレクション2012展
1月14日(土)〜2月21日(火)
11時〜19時 水曜定休
| 固定リンク
「展覧会情報[2012]」カテゴリの記事
- エル・グレコより宮永愛子(2012.12.10)
- お祝いのお花(2012.11.19)
- 祝 横尾忠則現代美術館オープン(2012.11.15)
- お楽しみ、ミュージアムグッズは?(2012.10.24)
- 六甲ミーツ・アート2012 その5(2012.10.18)
コメント