« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »

2011年10月

2011年10月30日 (日)

神戸ビエンナーレ、ポーアイ編

Photo_2
 ポートアイランドしおさい公園。三宮からポートライナーで「みなとじま(キャンパス前)」下車、西へ徒歩8分の海辺に21人の作家の作品が展示されています。今回が初めての青空展で、これがなかなかおもしろい。コンテナのように限られたスペースをどう使うか、というのもそれなりにアイデアが要るし工夫もあって楽しいが、やはりアートは制限が少ないほどアーティストの思いが強く表現されて見ごたえがある。
 なかで一押しは藤江竜太郎さんの「GOLDEN ZERO」。舗道に金箔を貼って大きな円を作った作品です。光の当たり方や見る角度で見え方がまったく変わる。夕陽が当たって光り輝く時間帯に見たけれど、反対側から歩いてきた人はここに作品があることに気づかず作品の上を平気で歩いて行きました。Photo_3自然の中に設置された作品だから、晴れと雨、昼と夜ではとうぜん表情が変わる。とてもシンプルだけれど、自然と一体になってさまざまな表情を見せ、見る人のその時の気分や意識まで反映する見事な作品です。
 ほかにも「Crater Lake」と題された木で作った気持ちの良いサンデッキのような作品や、「ポートアイランド レインボウハット」というタイトルの不織布と漆喰で作ったパオのようなテントの中に美しい虹がかかる作品など、刺激的な時間を楽しめました。この会場は今回が初めてですが、大成功と言えるでしょう。

神戸ビエンナーレ2011
2011年10月1日(土)~11月23日(水・祝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月27日 (木)

影はモノクロじゃない!

Photo_2  影、陰、翳、カゲ・・・そのものに実体はなく、光がさえぎられることによって生まれる黒やグレーの揺らぎ。しかしそのカゲに色がついているとしたら? それも文学的表現じゃなく、物理現象として。森雅美さんに聞いたところでは、カゲが黒く見えるのは人間の脳が自動的に色調補正をしているから、なんだそうです。「カゲは黒い」と思い込んでいる固定概念にあわせて、眼から入った情報を脳が勝手に加工してくれる。なんと恐るべし!脳の機能のすばらしさよ。
 カメラは光学機械なのでレンズから入ってきた光を正確に記録する、勝手に加工することなしに。だからそこに現れるカゲの画像は、うっすらだけど紫やグリーン、オレンジ、茶色と、実にさまざまな色を帯びている。こんな新しい発見と驚きを私たちに示してくれる森雅美さんに感謝しなきゃ。「真実を見る目が大切だ」と言いながら、私たちがいかに固定概念に縛られた見方しかできていなかったか。伝統とか常識とか、いままで何も疑わず当たり前に認識し行動していた世の中の基盤を、もう一度考え直さないといけない時代に入ってきたように思います。

ギャラリーPAXREX
森善之+森雅美  『 水 と 翳 』
2011年10月16日(日)~10月28日(金)
11時~19時 水曜定休

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2011年10月24日 (月)

水の泡は、かくも美しい

Photo 水の中に空気が混ざってできる泡。すぐに消えてなくなるから、努力がムダになることを「水泡に帰す」などと言われ、あまりいいイメージはない。でも森善之さんのこの作品をご覧ください。滝つぼに大量の水が流れ落ちて生まれた泡でしょうか? 実体があるようなないようなはかなくも美しい姿を見せる泡も、これだけ集まると凄まじいエネルギーを感じます。一つ一つの泡がプチッ、プチッと割れる時に生まれるマイナスイオンが、観ている私たちまで健康にしてくれるような気がします。
 カタチを持たずさまざまに姿を変えながら巡る水を、まるで輪廻を捉えるように撮影した森善之さん。私たちの細胞の隅々にまで行きわたる繊細な顔と、巨大なパワーですべてを押し流す激しい顔と・・・地球と地球に生きるすべての生命になくてはならない水が持つ二つの顔を、美しいオリジナルプリントでお楽しみください。 

ギャラリーPAXREX
森善之+森雅美  『 水 と 翳 』
2011年10月16日(日)~10月28日(金)
11時~19時 水曜定休

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月21日 (金)

森雅美さんの「翳 Shade」

Shade
  宇宙のはじめはカオス、
  光が生まれ天となり翳が地となった。
  陰と陽である。
  翳・暗・柔・水・冬・夜・植物・女などが「陰」であり、
  光・明・剛・火・夏・昼・動物・男などが「陽」である。
  一方がなければもう一方も存在し得ない。

  直進する光は物や人にあたり翳をおとす、
  壁に降りそそぐ翳。
  翳に実体はなくただ漆黒から白の少してまえの灰色、
  おぼろげな状態から輪郭のはっきりしたもの。
  二次元の世界、闇ではなく光のなかに存在する。

                          森 雅美
ギャラリーPAXREX
森善之+森雅美  『 水 と 翳 』
2011年10月16日(日)~10月28日(金)
11時~19時 水曜定休

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月18日 (火)

森善之さんの「水のすみか」

_mg_22671
      永遠無常に巡りゆくもの
     かたちというものを持たず
     流れ、留まり、混ざりあい、凍りつき
     そして空気の中に姿を消す

     生きているすべてのものは水そのもの
     永遠無情に巡りゆく

     さまざまにかたちを変え
     虫となり魚となり鳥となり蛇となり人となりながら
     ひと滴の水が土へ落ちて消えるように
     やがて空気の中に姿を消す

     光さす山深い谷川の 澄みきった清冽な水
     
     いつの日か
     死という出口を通りぬけ
     私の中にある水は
     きらきらと陽の光を浴びながら
     あの谷川の流れの中を流れゆく

     そんな一杯の水が 今 喉の中を流れてゆく

                              森 善之
ギャラリーPAXREX
森善之+森雅美  『 水 と 翳 』
2011年10月16日(日)~10月28日(金)
11時~19時 水曜定休

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月15日 (土)

野麦峠トレイルラン・参加報告記

Img_27051 食欲の秋、アートの秋、そしてスポーツの秋! ン十年生きて来て、およそスポーツとは縁のない運動オンチのけいママが、何でトレランなんかに参加?
 いやはや、その一部始終は先日のかぜくさ便り「信州・奈川でトレイルラン」を読んでいただくとして、今回はその結果報告であります。
 ええいっ!先に言っちゃえ! 順位は女子の部最下位でありました! ああ、これでスッとして楽しく書けるぞ(笑!)Img_26821
 大会当日は気温がグッと下がり、標高1,400m近い奈川高原に凛とした冷気が入り込みました。続々と集合する選手たち・・・。す、すごい! みんな走る格好してる! あたりまえだ、トレランは走るんだぞ、山ン中を。うわあ!スタートと大きく書かれている! あたりまえだ、競争なんだぞ、トレランは!
 ただ一人、山登りの格好して立ちすくむけいママ・・・。場違いだ。帰ろうか、このまま。と、オタオタしている間にカウントダウンが始まっちまったぜ。行くしかないぜ。なんだこれしき、やってやろうじゃないの、生まれて初めてのトレランとやらを!
Img_26421 と、皆さん、けいママを除いて勢いよく走り始めました。うわあ!坂道をスイスイ走ってる! あたりまえだ、トレランなんだぞ。あっという間に取り残されて一人旅です。するとたちまち「注意力散漫」に陥り、キョロキョロするけいママ。
 なんといい天気! 秋の空にくっきりとそびえる乗鞍岳。高原に咲くかわいい花々が風に揺れる。おお、あんなところに大きなキノコが! あれは毒だろうか?と、ポケットからやんわりとカメラを取り出そうとすると・・・。沿道からスタッフの方々の心配そうな声が・・・。「大丈夫ですか?」
 そっかあ〜、これはハイキングではないんだ、トレランとやらなんだ! わたしゃ、今、競争しているんだ!と、思い直して、健気にちょこっと走り(スタッフの方々が見ている時は)ちょこっと歩き(誰もいない一人旅の時は)そうこうしている間に、給水ポイントやらにさしかかりました。Img_26451実はこれを楽しみにしていたんですよね。飲み物と軽食を用意してますって、いったい何だろ? ウキウキワクワク。ええっと、私の記憶が確かなら、ポカリスエットと、バナナ、お菓子、それに赤かぶ・・・ふ〜っむ、赤かぶってことはおにぎりもあったほうがいいんじゃないの?と、スタッフの方には言えなかったけど。。。
 「ゴールまで後半分ですよ、頑張って!」という声援に見送られて、また歩き・・・いや、走るけいママ。で、ゴールしてみると、最下位ではありましたが爽快そのもの! 「いやあ、トレランっていいものですね」。
 今回は第一回目だったんですが、野麦峠の古道と、普段は立ち入り禁止の国有林の林道を走るこの大会は参加者に大好評でした。けいママも次回はビシッと・・・! それにしても普通に平地走ってもしんどいのに、トレラン・ランナーってトレビアン!!ってこんなん言うてるようじゃ次回も最下位かいな?とっほほ
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月12日 (水)

3回目の神戸ビエンナーレ

Photo  10月1日にスタートした神戸ビエンナーレ2011。今回はメリケンパークに代わるハーラーランドと県立美術館に加え、ポートアイランドしおさい公園や元町高架下(通称モトコー)も会場になっています。テーマは「きら kira」。1つの輝きが重なり、キラキラ輝く世界になるようにとの願いが込められているそうです。それぞれの会場間はシャトルバスや船で行き来します。
3  県立美術館ではREFLEXIONENという招待作家展が素晴らしい。日本の具体とドイツのゼロに焦点を当て、彼らに影響を受けた(?)後の世代の作家の作品も展示。ユリウス・シュミーデルや松井紫朗の取り組みに感銘を受けました。3日に亡くなられた元永定正さんのビニール袋に色水を入れたインスタレーションを観られるのも、今回が最後。ご冥福をお祈りいたします。
 ハーバーランドではコンテナと同じ規格サイズの部屋で、公募作品の展示。Photo これは港町らしいという理由で第1回から続く企画ですが、今回は展示のために大量に使う電線や建築資材を東日本大震災の復興に回そうという趣旨で、屋内での開催になったそうだ。JR神戸駅のすぐ海側の、昔は西武百貨店やオテルニューオータニが入っていたビルです。韓国の作家や中国・天津の作家におもしろいものがありました。
 ポーアイしおさい公園とモトコーの展示については、また機会があればこのブログで紹介します。

神戸ビエンナーレ2011
2011年10月1日(土)~11月23日(水・祝)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 9日 (日)

ささやかだけど大切なもの

Esumi 東北での津波、原発、和歌山・奈良の豪雨被害・・・。今年ほど、平凡な暮らしや、いつもと同じ取るに足りない日常が、こんなにも愛おしく感じる年はありませんでした。まだ大晦日まで2ヵ月半以上あるのに、1年を振り返るようなコメントで申し訳ございません。でもあまりにもショックが強烈で、今まで何十年とそれをベースに生きてきた価値観を、根底から揺さぶられる思いがするものですから、つい言葉にしてしまします。
 この作品、ESUMIの中の「STUDIO Ⅱ」。なにか大切なものを護っている象徴的な写真だと私は思います。撮影の現場で藤井保さんと江角マキコさんの間でどんな会話が交わされたかは知りませんが、この繊細な手の表情はきっと江角さんが大切に思うものをイメージして生み出されたカタチなのでしょう。この作品を見ていると、フクシマから幼子を連れて避難しているお母さんや、泥の中から出てきたアルバムの写真を一枚一枚きれいに洗っているボランティアの姿を思い浮かべます。何でもないささやかな家族との時間が、いかに幸せか。いつもと変わらない街の風景が、どんなに貴重なものか。そんなささやかなモノやコトを、慈しみ護っていくお手伝いをしたいと考えています。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 6日 (木)

藤井保さんによる冬の八ヶ岳

Yatsu2 藤井保さんが厳冬の八ヶ岳を撮ると、こうなりました。まさにカムイミンタラ=神々の遊ぶ庭。吹雪いてきてガスが立ち込め、とても人間が近付くことができない世界。表現は悪いのですが、冬山で遭難するのはこんな状況ではないでしょうか。でも、そこにはちっぽけな人間の思惑を超えた、大自然の美しさがあります。私たちがサバイバルできるかどうかなど関係なく、雪と氷の限りなく無垢な世界は人類が誕生するはるか前から存在していました。
 高い山を神聖な場所として崇め、信仰の対象とするのは世界中で見られます。日本でも富士山、立山、白山、木曽御岳とたくさんある。人間がコントロールするどころか理解さえも超えた自然。だからこそ、畏れ祈るしかできなかったのでしょう。哲学的洞察に満ちた藤井保さんの作品。「真を写す」と書く写真ならではの表現力で、あたかも神聖なその場にいるような厳かな気持ちにさせてくれます。絵画では決して伝えられないこの奥深い作品は、10月10日(月・祝)までご覧いただけます。お見逃しなく。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2011年10月 3日 (月)

ピンホールで捉えた地獄

Unzen ここは雲仙。もともと「温泉」と書いて「うんぜん」と読んでいたそうだ。水蒸気が噴出し、硫黄のニオイがたちこめる雲仙地獄。昔の人たちはグツグツと沸き立つ高温の湯や白い湯気を見て、また独特の嫌なニオイに包まれて地獄を想像したのでしょう。藤井保さんのこの作品は、ピンホールで撮影されている。だからでしょうか、地獄というより夢幻の理想郷を思わせる幻想的なイメージに仕上がっている。立ち昇り流れる水蒸気が辺りをおおうさまが、ピンホールならではの長い露光時間のうちに、日の出の逆光に浮かび上がる。とても静かで美しい時間。
 地獄と極楽、善と悪、自然の恵みと自然災害…。人間は何事も解釈しないと我慢できない生き物です。なんとか自然の営みも分類し理解しようとしてきましたが、自然にはもともと善も悪もない。自然から見れば、人間がそこから何を導き出したか、なんてアンタの勝手でしょ!というところなのだから。そこで、理解を超えた存在は神となる。畏れ、敬い、何とか災いが降りかかるのを免じてもらおうと祈ったものです。それが近代科学の進歩により、理解できないものはないという思い上がった思想に取りつかれ、畏れを忘れ、その代わりに「想定外」という言葉を手に入れた。
 藤井さんの「カムイミンタラ」には、今も神が存在しています。ぜひ精緻なオリジナルプリントでご覧ください。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休
 

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年9月 | トップページ | 2011年11月 »