藤井保さんの雪は、情念の色
ヨーロッパアルプスとは違う。カナディアンロッキーでもない。風景としての姿が違うのは当然だけれど、色がまったく違うのだ。この色は日本の冬山以外ではありえない。日本でも冬の間どんよりとした低い空に覆われた、ここ八甲田など日本海側の豪雪地帯特有の色ではないかと思うのです。日本も広いから、雪山でも北海道や太平洋側の晴天の多い地方ではもっとヌケのいい色をしている。
藤井保さんは「カムイミンタラ」で八甲田以外にも八ヶ岳や栂池で撮影した作品を載せていますが、それぞれ微妙に色が違う。同じ天から降ってくる雪でありながら、地域ごとに差がある。それも驚きだが、その僅かな違いに気づいてそれぞれを表現する力量にも驚かされる。だって違うんだもん、と簡単に言われてしまいそうだが・・・。青が強いとか緑がかっているとか物理的な色だけではなく、雪を恨みに思ったり、清浄さのシンボルにしたり、その土地土地に蓄積された情念や地霊が乗り移ったような深みに達している。まさにカムイミンタラ=神々の遊ぶ庭。
ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休
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