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2011年9月

2011年9月30日 (金)

画廊イチオシは奥脇孝一さん

Arthall JR元町駅の山側にあるアートホール神戸で、10月11日(火)まで「画廊イチオシ・ニオシはこの作家2011」展が開催されています。神戸市内にある5つの画廊が推薦する作家の作品を展示し、現代美術の“今”を紹介するユニークな展覧会。絵画あり、立体作品あり、写真あり、と多様化する現代アートの諸相をざっと概観できる企画です。
 PAXREXは奥脇孝一さんのモノクローム「HANA」シリーズを7点出品しています。どれも神戸では初のお披露目になる作品です。003_2 海外でも評価が高いシャープでモダンな世界が、奥脇さん自身の手による美しいゼラチンシルバープリントで。ミニマルアートのように黒と白に抽象化された花の世界がご覧いただけます。
 他にはギャラリーヤマキファインアートさん、GALLERY 301さん、ギャラリー島田さん、ギャラリー開さんが、それぞれのイチオシ・ニオシの作家さんの作品で参加されています。ギャラリーの眼で見たおすすめ作家、いろんなジャンルの旬なアートをまとめて一気に見るチャンス! ぜひアートホールへ足をお運びください。入場無料です。

アートホール神戸
画廊イチオシ・ニオシはこの作家2011
2011年9月29日(木)~10月11日(火)
10時~18時(最終日は16時まで)

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2011年9月27日 (火)

「ESUMI」から、見事な言葉

Photo
     ただ一人 生まれる
     五つの元素に 隔たりはない
     そう 海のように山のように空のように
     人は そのままが 美しい
     悔いても刻一刻 時空のどこかに消え去っていく
     静かに我を保ち 時らしき道を前進するのみ
     いつかただ一人 かえるときまで
      江角マキコ

これは写真集「ESUMI」(リトルモア)の、江角マキコさんによる後書きです。あまりにも素晴らしいので、そのまま引用させていただきました。いかがですか? 一人の人間としての強烈な自立宣言でしょう? 強い意志を持って生き、冷静に人生のすべてを受け入れ、そして逍遥として死を迎える。まるで悟りを開いた宗教者のような言葉。江角さんの一本芯が通った凛とした美しさは、こんな強い内面からにじみ出ているのですね。いまギャラリーPAXREXで開催中の「藤井保の世界」展で、江角さんと藤井さんが共同で創り上げた世界をご覧ください。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休

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2011年9月24日 (土)

黒部ダムで科学の未来を考える

Img_2539 フクシマで原発事故が起こってから、科学の進歩や文明の発展、エネルギーの問題などをもっと真剣に考えてみようという方が増えたのではないでしょうか。というのも、今まで無意識のうちに信じていた「科学の進歩によって人間は幸せになれる、人類は繁栄する」という信仰が、根底から崩れてしまったから。そこで、日本が戦後復興から高度成長へと向かうエポックメイキングとなったスポットの一つ、黒部ダムへ行ってじっくり考えてみようと思い立ち、開通40周年となる黒部アルペンルートへ向かいました。「プロジェクトX」のDVDも事前にしっかりチェックしましたよ。Img_2528
 ここクロヨンでは、まだ人類の希望と科学がぴったり寄り添っていた時代の楽観主義があふれている。大いなる自然破壊だ、という声はあくまで少数派に過ぎない。200mもの高さから巨大な黄色のバケツを吊り下げてコンクリートを運ぶなど、工夫や熟練が要るけれどハッキリ目に見える技術で作られたダム。ここに水を貯め、その水を落として発電する。「スゴイ! よくこんなもの作ったよね」という驚きと素直な感動。うん、わかりやすい。
 ひるがえって原子力はどうでしょう? 核分裂とか放射能とか、目には見えない、手で触れない、近づけない、そんなテクノロジー。人間の生物としての本能からは、五感で確認できないものは拒絶するのが自然だ。科学の進歩は、現代に至ってついに神の領域まで足を踏み入れてしまったのかもしれません。いわばバベルの塔。これからは、原子力に限らず遺伝子工学などすべての先端科学を専門家だけの閉鎖的なムラにとどめていてはいけない。そこで何が考えられ、何が行われているのか、ひろく情報を公開し目に見えるよう努力してほしいものです。私たち一般市民も注意して科学の進展を見ていく義務があると思います。子や孫の世代に取り返しのつかない負の遺産を押し付けないために。

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2011年9月21日 (水)

藤井保さんの雪は、情念の色

Photo ヨーロッパアルプスとは違う。カナディアンロッキーでもない。風景としての姿が違うのは当然だけれど、色がまったく違うのだ。この色は日本の冬山以外ではありえない。日本でも冬の間どんよりとした低い空に覆われた、ここ八甲田など日本海側の豪雪地帯特有の色ではないかと思うのです。日本も広いから、雪山でも北海道や太平洋側の晴天の多い地方ではもっとヌケのいい色をしている。
 藤井保さんは「カムイミンタラ」で八甲田以外にも八ヶ岳や栂池で撮影した作品を載せていますが、それぞれ微妙に色が違う。同じ天から降ってくる雪でありながら、地域ごとに差がある。それも驚きだが、その僅かな違いに気づいてそれぞれを表現する力量にも驚かされる。だって違うんだもん、と簡単に言われてしまいそうだが・・・。青が強いとか緑がかっているとか物理的な色だけではなく、雪を恨みに思ったり、清浄さのシンボルにしたり、その土地土地に蓄積された情念や地霊が乗り移ったような深みに達している。まさにカムイミンタラ=神々の遊ぶ庭。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休

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2011年9月18日 (日)

江角マキコさんの凛とした美

Photo  女優・江角マキコさんと映画『幻の光』のスチール撮影で意気投合した藤井保さんが写真集「ESUMI」を出版されたのは、1996年。モノクローム主体の芸術性の高い美しい写真集は、よくあるタレント本とは一線を画し、その当時たいへん話題になった名作です。ヌードについては藤井さん自身が「江角さんをエロチックにとらえるのではなく、標本を撮るように、体の部分部分を撮影していきました」と書いています。
 その名作「ESUMI」から11点の美しいオリジナルプリントをギャラリーPAXREXで展示中。微妙に表現された黒の諧調や陰翳、印刷された写真集では見ることのできないディテールに、藤井さん自身の手によってバライタに焼き付けられ、丁寧にアーカイバル処理された、いわば写真の完成品をご覧いただくことができる絶好のチャンスなのです。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休

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2011年9月15日 (木)

お待たせしました、藤井保展です

011 ギャラリーPAXREXでは今度の土曜・17日から、「Fujii world 藤井保の世界」を開催いたします。まだ残暑が厳しいこの時期に、「カムイミンタラ」から雪山5点を展示して涼を感じていただこうと考えています。いや、涼を通り越して凍までいってしまうかもしれません。
 この作品は八ヶ岳。ガスが出て方角もわからなくなる、遭難一歩手前の状況。よくこんな天気の時に、なぁんて思うのは一般人の考えです。アーティストは人と違うものを創りだしてこそ価値がある。ましてや作品集「カムイミンタラ」のコンセプトは、神々が遊ぶ庭。人間が普通に見かける風景ではなく、神さまのみが見る世界を表現しようとしているのです。だから、厳しい冬山以外にも噴煙を上げる火山や台風の波など、尋常ではない風景ばかりで構成されています。
 自然風景もこのように日常性の対極まで行くと、たしかに神聖さを帯びてくる。そこは善悪を超え、恐怖も快楽もない、純粋無垢な世界。人間の智恵や経験ではコントロールどころか理解さえもできない。だからこそ古来より崇めてきたのではなかったか。ここには私たちが旅行で記念写真を撮ってくる風景とは異次元の眺めがある。ぜひPAXREXで精緻なオリジナルプリントをご覧ください。

ギャラリーPAXREX
Fujii World 藤井保の世界
2011年9月17日(土)~10月10日(月・祝)
11時~19時 水曜定休

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2011年9月12日 (月)

第4回 義援金ご協力に感謝します

Photo  9月11日(日)をもちまして「イメージの領域 Beyond Realism」展が無事に終了いたしました。お盆休みをはさんだ暑い時期で、しかも節電で冷房温度を上げたなかでの開催にもかかわらず、多数ご来場いただきましてどうもありがとうございました。今回も売り上げの10%を日本赤十字社を通じて東日本大震災で被害にあわれた方々へ寄付させていただきました。ご協力いただいた方々には心からお礼申し上げます。
 喉もと過ぎれば…ではないですが、日本人はスグに忘れて次の話題に気持ちが移るとも言われます。たしかにテレビや新聞を見ていると、ナデシコだ、紳助だ、どじょう内閣だ、記録的豪雨だと次々と話題は尽きない。これはニュース(新しいこと)を伝えるマスメディアの宿命でもありますが、メディアというのは私たち一人ひとりの意識を映し出す鏡でもあります。自らの態度や考え方を見直さないと・・・。
 10年20年単位で取り組まなければならない災害復興、50年100年単位で考えなければならない原発問題。現地を見て思うのは、しっかりと息長く持続する力がこれから特に必要だということです。この気持ちをいつまでも忘れることなく、しつこくしぶとくサポートしていきたいと考えています。がんばっぺ!

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2011年9月 8日 (木)

どう解釈する?「あなたの現実」

Eure_wirklichkeit  作品名は『あなたの現実 eure wirklichkeit』ですと言われて、自分自身を振り返ってみても、どこが私たちの現実の姿を表しているのだろう? よく分からない。そんなことあまり深く考えたこともない。だからよけいに気になって、いろいろと解釈を考えてしまうのかもしれません。
 例えば、この青年(?)は未来に展望を持てない日本の今を体現する殉教者? それとも20世紀に主流だった成長、効率、進歩、拡大などの価値観を否定し、新時代を開く救世主? 大災害に打ちひしがれて茫然自失の日本人? いずれにしても、あまり明るく元気には描かれていない。哀しみに耐え、しかし敢然と逆風に身をさらし、じっと佇んでいる。そういえば一見弱々しく見えながら、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」的な芯の強さが表現されていると思うのですが、いかがでしょうか?
 この展覧会は11日(日)まで。PAXREXで実際の作品を見て解釈を楽しんでみてください。

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年8月20日(土)~9月11日(日)
      11時~19時 水曜定休 

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2011年9月 5日 (月)

おすすめの本『ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間』

Photo  大震災に見舞われた地の子供たちは、どんな思いで、どんな夏休みを過ごしたのでしょうか。そんなことを考えながら、ぜひみなさんにご紹介したい本があります。
 著者の菅谷昭氏は現・松本市長さん。今年の夏に福島県の子供たちを「信州・ながわ」に招待。多くの制限を余儀なくされている子供たちは大はしゃぎだったようです。
 さて管谷氏のこういった放射能汚染にからむ社会活動は、1986年に起きたチェルノブイリ原子力発電所の爆発事故にさかのぼります。その頃甲状腺外科のお医者さまだった氏は、自分の力を役立てたいとベラルーシに飛びます。そこで過ごした子供たちとの5年間を綴ったこの著書は、過去から学ぶという意味でも今再びクローズアップされなければならない・・・ 悪夢のようでも現実ですね。
「まさか、この日本でこんな事故が起きてしまうなんて!」Photo
 日々報道される放射性物質・・・ セシウム、プルトニウムなどに混じってヨウ素(ヨード)って出て来るでしょう? 私は何だか疑問でした。「それってワカメなどに含まれているんじゃ? なんで放射性物質なんだろ?」って。この本を読んでみて、よく分かりました。それは放射性ヨードと呼ばれるもので、海藻に含まれている無機ヨードとは違うのだという事。海から遠く離れた海藻を食べる習慣のないベラルーシでは、人々の体、とりわけ子供たちの体が常にヨードを欲していて、大量にその放射性ヨードを体内に取り込んでしまった事。悲しいかな、体はいいヨード、悪いヨードまでをも区別することは出来ないのですね。
 子供向けにやさしく書かれた管谷さんの語りかけるような文章は、悲しい現実を伝えつつも、決して暗くもないし、優しさと前向きな気持ちにあふれています。
 それはベラルーシの子供たちが厳しい現実の中でも夢を失わず、ひたむきに一生懸命生きているからだと管谷さんは語ります。子供たちからそんな姿勢を学んだのだと。
 表紙の写真はタンポポが咲く汚染地域。人が住めないほどに放射能がひどく、建築中の建物がそのまま放置されているそうです。読み終わった後、眺めてみるとメッセージが浮かび上がります。それは1枚の写真が放つ強烈なメッセージです。

 ぼくとチェルノブイリのこどもたちの5年間
 管谷昭著
 ポプラ社
 
 
 

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2011年9月 2日 (金)

夏野菜の王者、トウモロゴーヤ!

Photo  作品を見ながらスウーッと歩いていた方が、必ずフッと立ち止まるのがコレ。中田明さんのトウモロコシ、えっ、いや、ゴーヤ? きっと訳がわからなくなってしまわれるのでしょう。中には「トウモロコシって熟れる前はきれいな緑色なんですね」と感嘆される方も。二つの夏野菜のパワーをぎゅっと凝縮したような力強い姿。実はこの作品、ゴーヤをトウモロコシの皮で包んで撮影している。細かいヒゲも8×10の大判フィルムならではの精密さで再現されている。
 わざわざこんな造形を施してから撮影するのは、中田さんの洒落っ気のあらわれ。見る人にサプライズを与え、既成観念を揺さぶることこそアートという芸術の役割。知的な刺激のないものは、いくら美しくてもアートとは呼べない。過去にあったものの焼き直しではちっとも面白くないのです。人がやったことがないことをやるのがアート。アートとクラフト、芸術家と職人を分けるのは、この部分。もちろんどちらが上とかどちらが偉いとかという価値基準とは、まったく別物です。私たちはその都度グッと感じるものをチョイスするだけのこと。
 この頭を混乱させて楽しませてくれる作品を、勝手に「トウモロゴーヤ」と名付けてみました。しかしこれでは何の工夫もなく、芸術にも職人技にも程遠い単なる悪ふざけでしかない、トホホ、おそまつ。

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年8月20日(土)~9月11日(日)
      11時~19時 水曜定休

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