酸化第二鉄をまとったトルコキキョウ
美しいピンクの砂に、レリーフのように立体になったり影を落としたりして、はかなげにユラユラするトルコキキョウ。花の魂だけがそこに漂っている。存在感がなさそうに見えるのに不思議な自己主張がある。まるで幽霊が「私はたしかに存在してるのよ」と訴えているようだ。
背景のピンクは酸化第二鉄。京町家のベンガラ格子で有名な塗料です。早い話が鉄の赤錆。中田明さんはこのベンガラをトルコキキョウにも塗って錆びさせて、しかも多重露光で撮影しておられます。8×10の大判フィルムで撮って密着で焼いているため、描写力がハンパじゃない。砂丘のように見える背景の手でつかめそうな質感と、まるで蜃気楼のようなおぼろげにフワッと浮かぶ花の対比がとてもオモシロい。
もちろん作家手作りの銅の錆を生かしたフレームの、辺りをはらう強烈な存在感は言うまでもない。そうかと言ってフレームだけが目立っているのではない。中の作品とフレームがそれぞれ強い個性を主張しながらうまく溶け合って、独特の世界観をかもし出している。一瞬と永遠、「時間」が持つ不思議な感覚をギャラリーで体験してください。
ギャラリーPAXREX
「イメージの領域 Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休
| 固定リンク
「展覧会情報[2011]」カテゴリの記事
- 義援金とボランティア2011(2011.12.26)
- 雪の中から咲く「すいせん」(2011.12.20)
- これ、NYのセントラルパーク(2011.12.17)
- 第5回 義援金ご協力ありがとうございました(2011.11.29)
- 小林鷹さんの「静穏」展、まもなく(2011.12.02)
コメント