「植田正治の旅と写真」展
1913年生まれ、2000年没。アートとしての写真を追求し独自の世界を創り上げた写真家・植田正治。写真の世界でグローバルに評価された唯一の日本人ともいえる存在です。いまはさすがに杉本博司をはじめ何人かの世界的な作家が出てきていますが、リアリズム全盛の当時の日本では希有の存在です。鳥取県境港でその一生を過ごし、しかも世界で高い評価を得たこのアーティストの新しい展覧会が、6月11日から始まりました。
場所は大山のふもと、鳥取県西伯郡伯耆町にある植田正治写真美術館。家族をモデルに起用した「砂丘シリーズ」がチョー有名ですが、これは1970年代に晩秋のヨーロッパを撮影したもので、『追憶のヨーロッパ』と展覧会タイトルがついている。「郷愁」や「追憶」といったノスタルジックな感情を映像に閉じ込めた作品の数々を見ることができるそうです。
この美術館、建築家・高松伸が設計したコンクリート打ちっぱなしの建物も見所十分。特に映像展示室内の仕掛けには感動させられます。ここの壁面に直径60cmの巨大なレンズが取り付けられ、焦点距離8.4mの向かいの壁には巨大な逆さ大山が映し出されている。つまり見学者がカメラの内部構造に入り込んだかたちになるのだ。
ちなみに私は10年ほど前にここのミュージアムショップで買った、カードサイズのプラスチックルーペを財布に入れて愛用しております。ハイ、老眼鏡代わりというわけ。
植田正治写真美術館
追憶のヨーロッパ ○ 植田正治の旅と写真
2011年6月11日(土)~9月11日(日)
9時~17時 火曜休館
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