銅のサビで時を表現する中田明さん
オーム貝に銅の粉を塗って錆びさせて撮影した作品を、銅を錆びさせて作ったフレームに入れる。中田明さんの創作のキーになるのは、銅の腐食。ここに写っているものは、貝であれ野菜であれ花であれ、長い時の流れに閉じ込められた化石のように存在感を主張する。
アート表現としての写真がいま行き詰っているのは、写真の平面性が要因の一つだ。どうしようもなく薄っぺらで上っ面だけの表現のように見えてしまう、写真の宿命ともいえる平面性。これを打ち破って新しい表現の可能性を探る試みは、現代の写真家が取り組むべきもっとも大切な課題だと思います。
その解決法の一つが、物質感だと思う。中田明さんは銅のサビを活用して撮影した写真を錆びた銅板で作ったフレームに入れる、という独自の方法で強烈にこちらに迫ってくる存在感を獲得しています。まさに本物の物質でできた本物の存在感。ここからどんな新しい写真の世界が開けてくるか、期待が膨らみます。
ギャラリーPAXREX
「イメージの領域 Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休
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