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2011年7月

2011年7月31日 (日)

酸化第二鉄をまとったトルコキキョウ

Photo_2 美しいピンクの砂に、レリーフのように立体になったり影を落としたりして、はかなげにユラユラするトルコキキョウ。花の魂だけがそこに漂っている。存在感がなさそうに見えるのに不思議な自己主張がある。まるで幽霊が「私はたしかに存在してるのよ」と訴えているようだ。
 背景のピンクは酸化第二鉄。京町家のベンガラ格子で有名な塗料です。早い話が鉄の赤錆。中田明さんはこのベンガラをトルコキキョウにも塗って錆びさせて、しかも多重露光で撮影しておられます。8×10の大判フィルムで撮って密着で焼いているため、描写力がハンパじゃない。砂丘のように見える背景の手でつかめそうな質感と、まるで蜃気楼のようなおぼろげにフワッと浮かぶ花の対比がとてもオモシロい。
 もちろん作家手作りの銅の錆を生かしたフレームの、辺りをはらう強烈な存在感は言うまでもない。そうかと言ってフレームだけが目立っているのではない。中の作品とフレームがそれぞれ強い個性を主張しながらうまく溶け合って、独特の世界観をかもし出している。一瞬と永遠、「時間」が持つ不思議な感覚をギャラリーで体験してください。

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
     8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休

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2011年7月28日 (木)

田中新吾さんのチョコレート

Jpg  写真の薄っぺら感を何とかしたいと考えた田中新吾さんは、写真プリントの上からアクリルガッシュ絵の具でペインティングすることを思いつきました。でもアイデアは思いついても、なかなか実行できるものではありません。まず画材を何にするか、それをどう使うか、また絵のセンスや技術の習得など、課題は山ほどあったでしょう。それを一つ一つ克服して完成を見たのが、このフォト×ペイント「ピーチな話」シリーズです。
 平面性以外にも写真がどこかリアリティが無いように感じられる点がもうひとつあります。それはネガがあれば、複製が効くということ。ところが田中さんの作品はプリントの上に直接描くのだから、すべて一点もの。二重の意味で写真に強い存在感を与えることに成功したのです。そんなリクツをこねながら、撮影した画像で作品をご紹介する矛盾。ま、暑いですが会場まで足をお運びいただいて、実物をご覧いただくのが一番でしょう。輸入物のチョコレートの箱とクローバー。言葉にするとこれだけですが、遠い日の宝物のような空気や心情が、そこに流れているのが感じられます。

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
     8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休

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2011年7月25日 (月)

乗鞍にて、ご来光を拝む

Photo 朝暗いうちに起きだしてヘッドランプで足元を照らしながら山頂へ向かう。山の大気がすがすがしい。ほどなく周りが薄明るくなってくると、見えるものすべてが淡いブルーのベールをまとったような不思議な世界。奇跡が起こるとしたらこんな時間なんでしょうね。
 中央アルプスとその向こうに南アルプスが雲海の上に見え、ずうっと左手には八ヶ岳から浅間山、そして穂高連峰と続くパノラマビューは本当に素晴らしい。さらに右手には御岳、後は白山。それにしても、こんなにキレイに晴れ渡るなんて山の神様に感謝しなきゃ。(富士山は見えなくてちょっと残念) じっと日の出を待っていると、下界は猛暑でも山上はかなり気温が低い。着込んでいても寒いくらいの8℃でした。Photo
 やがて姿を現す赤く燃えた太陽。ご来光とは、よく言ったものだ。でも「ご来光」という言葉、記憶では「ご来迎」だったような気がする。『釈迦来迎図』のようで、もっとありがたい響きがあったものですが・・・。あとで雑誌やパンフレットを見ると確かにご来光と書いてあります。来迎のほうが好きだけれど、なんて邪念を浮かべていましたが、そんな気持ちが吹き飛んでしまうくらいの荘厳な瞬間。青い空気に金の光が混じっていく。思わず手を合わせておりましたです。感動。

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2011年7月22日 (金)

イメージの領域 Beyond Realism

Arm_zahm 日本では「写真はリアリズムだ」、という考えが長く支配していました。そのために世界の写真の進歩から取り残され、狭い狭い穴に入り込んで空も見えない状態が続いていたのです。近ごろになって自分自身を写真家と名乗らず、美術家と称する数人の写真アーティストによって、日本の写真もやっと世界で認められるようになってきました。まことに喜ばしいかぎりです。
 ここに取り上げた1点は「arm zahm  (従順)」と名付けられたモルテザ・アリアナさんの作品です。残念ながら彼は日本人ではありませんが、日本を愛し日本に住んで創作活動をしているドイツ人写真家です。会話にしょっちゅうワビやサビが出てくる日本文化びいきの彼ですが、創作に取り組む姿勢は世界標準です。つまり「アートの基本はオリジナリティだ」と深く考えて、今までになかった新しいイメージの創出に努めています。
 明日から始まる展覧会「イメージの領域」では、モルテザさんをはじめリアリズムの束縛から自由になった4人のアーティストが、さまざまな思想や手法で作り出した刺激的な写真アート作品を集めました。会場でこれからのアートの潮流を感じてください。

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
     8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休

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2011年7月18日 (月)

志賀伸子さんの白菜

Photo 豪華なバラの花のようにも見える。おしゃれなレースのブラジャーにも見える。台所で料理を始めようかというとき、どこからこんな妄想とも呼べるイメージが湧いてくるのでしょうか。志賀伸子さんの「菜園」シリーズを見ていると、視点のおもしろさとユーモア感覚に驚かされます。
 アート作品としての写真には、TVや新聞でたたかれるヤラセ問題など起こるはずはありません。誰もアートに事実を求めていないから。ジャーナリズムの写真では、送り手も受け手もそこに写っているのは事実だ、という共通認識の上に成り立っている。真実とまでは思っていないにしても・・・。だからヤラセとわかったときの怒りは大きい。真を写すはずの写真がウソをついたのだから。それに比べてアートでは、どううまくウソをつけるか、というのが重要な表現方法になります。さも本当のようなウソは、人を驚かせ微笑ませ感動させる。写真でこれを表現する場合、「写真は真実を写す」手段だという一般常識あるいは既成概念をうまく利用することになる。これは絵画ではできない写真ならではの手法だ。
 あれ、それってアートに限らずニュースの映像や写真でもよく似たことが言えるんじゃないの? そんな疑問をもたれた方、あなたは鋭い。そうやって長年メディアや政府発表で見せられてきたイメージは数多い。しっかり自分の目でみるようにしなきゃ。 

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
     8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休

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2011年7月14日 (木)

銅のサビで時を表現する中田明さん

Photo_2 オーム貝に銅の粉を塗って錆びさせて撮影した作品を、銅を錆びさせて作ったフレームに入れる。中田明さんの創作のキーになるのは、銅の腐食。ここに写っているものは、貝であれ野菜であれ花であれ、長い時の流れに閉じ込められた化石のように存在感を主張する。
 アート表現としての写真がいま行き詰っているのは、写真の平面性が要因の一つだ。どうしようもなく薄っぺらで上っ面だけの表現のように見えてしまう、写真の宿命ともいえる平面性。これを打ち破って新しい表現の可能性を探る試みは、現代の写真家が取り組むべきもっとも大切な課題だと思います。
 その解決法の一つが、物質感だと思う。中田明さんは銅のサビを活用して撮影した写真を錆びた銅板で作ったフレームに入れる、という独自の方法で強烈にこちらに迫ってくる存在感を獲得しています。まさに本物の物質でできた本物の存在感。ここからどんな新しい写真の世界が開けてくるか、期待が膨らみます。

ギャラリーPAXREX
「イメージの領域  Beyond Realism」
2011年7月23日(土)~8月9日(火)
     8月20日(土)~9月11日(日)
11時~19時 水曜定休

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2011年7月10日 (日)

caldo(カルド)なカフェ

Photo_5 栄町のカフェ『anthem』をかぜくさ便りで「甘くな〜いカフェ」としてご紹介したのは、2006年8月・・・ 何と5年も前だったんです! その後あっという間に押しも押されぬ人気店となった『anthem』。この度5つ年取ったイケメン店主は、垂水の『Kottabos』に続いて3軒目のお店を元町にオープンさせました。その名を『caldo』(カルド)。
「Oggi fa caldo!」と、汗を拭き拭き向かいましょうか。はい、これってイタリア語で「今日は暑い!」。『caldo』すなわち暑い、暑い・・・ Photo_6  果たして新店は暑いか、寒いか! あらっ、ビルの5階だけど『anthem』と違ってエレベーターがあるんですね。これなら暑い!暑いと言わなくてもすむぞ。
 で、内装を仕掛けたのは『anthem』と同じくアンティークス・タミゼの吉田氏と言うことで、無機質なトーンの涼し気な風合い。感じのいいイケメンスタッフは、これまた暑苦しくなくてさわやかな感じ。清涼感漂う空間です。
Photo_7  ふ〜ん、『caldo』なのはデカンと控えた石釜か。日頃よくピザ店で目にするタイルを張りつめた窯とは趣が違って、これまた涼し気な窯っぽいけど、中の温度はしっかり300度だか、それ以上だか。
 3種から選べるピザランチの、写真はトマトとチーズですが、トンナートソースも美味しかった! そうそう、ナポリ出身のイタリア人シェフ・兼オーナーのサルヴァトーレがテレビの料理番組で言ってましたっけ。「家庭で美味しいピザ作るなんて無理! ンま!立派な石釜あるなら別だけど?」Photo_8
 立派な窯の威力って凄いんだ! もちろんいい材料、料理のセンス、美味しい食べ物への情熱とこだわり。いろいろ絡んで、何度も足を運びたくなるお店になるんだね。「ビオワインと料理を心ゆくまで楽しんでもらえるお店にしたかった」という、オーナーの熱〜い思いが形になった店。メニューに並ぶ「イカの窯焼きワタソース」「和牛バラスジの窯焼き」。う〜ん、どれも食べてみたいって、これまた熱〜い思いが湧いてきました。
 千円のピザランチは紅と緑のサラダ、ゴボウのポタージュ付き。パスタランチもあります。

 caldo
 神戸市中央区元町通1-7-2 ニューもとビル5階北
 Tel 078-331-7825
 Lunch 11:30〜14:00
 Dinner 16:00〜24:00(ラストオーダーは23:00)
 定休日 月曜日
 ※喫茶エビアンのビルの5階です。北側にエレベータ有り。

 
 
 

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2011年7月 6日 (水)

「植田正治の旅と写真」展

2 1913年生まれ、2000年没。アートとしての写真を追求し独自の世界を創り上げた写真家・植田正治。写真の世界でグローバルに評価された唯一の日本人ともいえる存在です。いまはさすがに杉本博司をはじめ何人かの世界的な作家が出てきていますが、リアリズム全盛の当時の日本では希有の存在です。鳥取県境港でその一生を過ごし、しかも世界で高い評価を得たこのアーティストの新しい展覧会が、6月11日から始まりました。
 場所は大山のふもと、鳥取県西伯郡伯耆町にある植田正治写真美術館。家族をモデルに起用した「砂丘シリーズ」がチョー有名ですが、これは1970年代に晩秋のヨーロッパを撮影したもので、『追憶のヨーロッパ』と展覧会タイトルがついている。「郷愁」や「追憶」といったノスタルジックな感情を映像に閉じ込めた作品の数々を見ることができるそうです。
 この美術館、建築家・高松伸が設計したコンクリート打ちっぱなしの建物も見所十分。特に映像展示室内の仕掛けには感動させられます。ここの壁面に直径60cmの巨大なレンズが取り付けられ、焦点距離8.4mの向かいの壁には巨大な逆さ大山が映し出されている。つまり見学者がカメラの内部構造に入り込んだかたちになるのだ。
 ちなみに私は10年ほど前にここのミュージアムショップで買った、カードサイズのプラスチックルーペを財布に入れて愛用しております。ハイ、老眼鏡代わりというわけ。

植田正治写真美術館
追憶のヨーロッパ ○ 植田正治の旅と写真
2011年6月11日(土)~9月11日(日)
9時~17時 火曜休館

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2011年7月 2日 (土)

不良ボランティア、を支えたい

Photo  先日、陸前高田や釜石などへボランティアに行ってきましたが、連れて行ってくれたのが「不良ボランティアを集める会」。この団体は2ヶ月ほど前に26歳と27歳の若者3人でつくったNPOです。中型免許を取りレンタカーのバスを交代で運転して、12〜13時間をかけて岩手まで運ぶボランティアバス「まごころ便」を運行してくれている。ボランティアの数が少なくなる週中ほどに現地で活動出来るよう、火曜朝に出発、金曜の夜に帰るスケジュール。5月24日出発の第1便から毎週現地入りしています。
 不良ボランティアって何なの? ちょっと引っかかる言葉でしょ。これは専門技術や知識を持つ優等生的ボランティアに対し、何も出来ない素人だからこそ、逆に一人一人の被災者に寄り添って何でも出来る可能を秘めている、そんな自発的に動く人たちを不良と呼んでいるのです。神戸再生フォーラムの代表・村井雅清さんが提唱している『不良ボランティアは社会を変える』に感銘を受けて、会の名称にお借りしたそうだ。
 不良のメンバーはリタイアしたばかりの団塊のオジサンや広島から夜行バスで駆けつけた調理師の女性、みんなで銭湯に行っている間にどしゃ降りの中20数kmもトレーニングで走るランナーなど多士済々。夜お酒を飲みながら、「まごころ便」が長く続くようなんとかサポートしたいねと話をしておりました。それにしてもよく飲むわ、皆さん。資金力がまったくないので、とりあえず7月19日(火)出発の第9便まで、と言っていましたが、つい先ほどホームページを覗くと8月23日(火)出発の便までは決まったようで、ひとまず良かった。
 こんな心やさしくマジメな「不良ボランティアを集める会」がもっともっと広く長く活動できるよう、支援金をはじめ皆さまのサポートをぜひお願いいたします。

不良ボランティアを集める会
〒653-0827 神戸市長田区上池田3-10-29
Tel. 080-1445-0547   代表 尾澤良平

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