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2011年4月20日 (水)

藤井保さんの、十勝川のように

Photo  電柱がまったく見えない。護岸工事の跡もない・・・。藤井保さんが今のうちに美しい日本を残しておきたいと6年の歳月をかけて撮影し出版した作品集「カムイミンタラ」。その中でも私がいちばん好きなモノクローム作品がこれです。北海道の十勝川。
 深みのある美しい黒、静謐な空気。何万年も時間が止まったように見えるこの写真は、ピンホールで撮られている。「露光時間は60秒、カメラの前を人が歩いても写りませんよ」と藤井さんが教えてくれる。だから川面の波も、岸辺の揺れる草も、空を飛ぶ鳥も、動くものはな~んも写っていない。要素が極限までそぎ落とされた後に残る、抽象化されたおおらかな川の姿。
 人生はいいことばかりではない。思い通りにはいかないものだ。失敗し、後悔し、まわりを傷つけ、自らを粗末にし、哀しみは深く沈殿する。しかし逆に、いつもいつも悪いことばかり続くわけでもない。きっとまた晴れる日もくるはずだ。日々をしっかり生きること、これの積み重ねの先に見えてくるのが「希望」ではないでしょうか。私はもう人生半ばを過ぎましたが、藤井さんの十勝川の流れのように、ゆるやかにおだやかに最後の時を迎えたいと思っています。いくつもの時代を通り過ぎ、幾人もの人とかかわり、喜怒哀楽すべてを含んで泰然と流れてゆく・・・。この作品、密かに人生の師と仰いでいるのです。

PAXREX5周年記念
パクコレ vol. 2 「ながめ」
4月16日(土)~5月15日(日)
11時~19時 水曜定休

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