「ゲーテが見た植物園」より
一昨年の春に開催した奥脇孝一さんの個展「ゲーテが見た植物園」。二百数十年前にゲーテも訪れた、イタリア・パドヴァ大学にある世界最古の植物園を撮りおろした作品を20点展示しました。ゼラチンシルバープリントならではの深みのある黒と美しいグレーの諧調で、とても高い評価をいただきました。写真マニアはもちろん、一般のお客さまもその格調高いモノクローム表現にとても感動されたようです。今回の展覧会では、その中から一点「はす」を展示しています。
何枚もの葉が複雑に重なりあったすき間から、まだ固いツボミが一つ、ちょっと首を傾げて顔を覗かせています。まるでこれから出て行く社会の風の厳しさを恐る恐る確かめているように。よく見ると右端のほうに花びらを落としたあとのハチスが見える。こちらは現役をリタイアして、飄々と風に吹かれているのでしょうか。春は出発と卒業の時期。いつもならこんな感慨に耽るところですが、今年は大震災でそれどころではない。一日も早い救援と復旧を祈るのみです。平凡ですが、どんなにひどい状態になっても季節が巡ると必ず花は咲きます。阪神大震災のときにもそれを感じました。被災して落ち込んでいる人間を、励まし勇気づけるかのように。
PAXREXもこの展覧会の売り上げの10%を被災地に寄付することにしています。ほんとうに微力ですが、できることを何かしたいという気持ちです。
PAXREX 5周年記念
パクコレ vol,1「はな」
3月12日(土)〜4月10日(日)
11時〜19時 水曜定休
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