灯りの効用、炎の効果
冬の寒い夜、初めての場所で道に迷ったかと心細くなっていたとき、ポツンと見えた一つの灯り。ホッと安心して疲れた足が軽くなる。じつは見た目ほど暖かくはない暖炉の炎。体の前面は火照ってくるが背中は冷え冷えとしている。しかし、揺らめく炎に魂を吸い寄せられるように見入ってしまう。なぜだろう? 火に対する思いは習慣や文化というレベルを超えて、DNAの記憶とでも言えるような奥深いところの情動。
アフリカに誕生した人類。その後ヨーロッパやアジアに移住して広まっていった私たちのご先祖は、厳しい氷河時代も生き延びてきました。今のような住居や暖房技術もなく衣服もないけれど、長い時間をかけて環境に適応し、なんとか今の私たちまでつながっている。それとともに、石器をはじめとする道具と火を手に入れたことが大きい。このおかげで生き延びることができた、といろんな本に書いてある。きっとそうなのでしょう。
夜の闇には恐ろしい肉食獣が潜み、生命の危険にさらされていた原始の時代。火を手に入れた人類は、闇を明るくし獣を近づけず、安心して暮らすようになった。そして子孫を増やし文明を築き、繁栄していった。これだけならメデタシ、メデタシなのだが、この延長が自然破壊や戦争だとしたら、ちょっと考えてしまいます。ヌクヌクと快適な生活をしながらこんなことを思う矛盾にも、人間の業の深さとちょっぴりの希望を感じる冬の夜長でした。
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