世界のお弁当
桜の季節。あちらこちらのお店でたくさんのお弁当箱が販売されていますね。カラフルで可愛いもの。とにかくでかいもの。アイデアいっぱいのもの。そこにはどんなおかずが詰められるんだろ? あなたに真心込めてお弁当を作ってくれる人は誰だろ?
「世界のお弁当」を覗いてみたいと思いませんか? 国が違えばお弁当も違う。旅先で写真を撮るのが趣味と言う著者。お弁当に興味を持ったきっかけは、異国でかわいいお弁当箱に出会ったからだとか。国によって異なる、バリエーション豊かなお弁当箱を見かけたり買い求めたりするうちに、中味も気になりだし、お弁当を食べている人たちに声をかけてみたそう。するとどの国の人たちも、ちょっと恥ずかしそうにしながらも「食べてみる?」とすすめてくれたり、作り方を絵に書いて教えてくれたり。たとえ言葉は通じなくても、お弁当というキーワードを通じて、人々と触れ合うことが出来ると気付いたと言います。お弁当に込められた豊かな食文化の違いと、万国共通の愛。
アジア圏ではやはり、ご飯とおかずがセパレートになっているものが主流なんですね。さまざまなスパイスで味付けされた煮込み料理やスープはきっと、各家庭に伝わる秘伝の味なんでしょう。それをご飯にかけて混ぜながら食べる。美味しそう!
いやいや、欧米スタイルのお弁当もやっぱり捨て難いぞ。パンにがっつりチーズや生ハム、生野菜を挟んだサンドイッチや、パニーニの類い。金髪の大きな目をくりンとさせた子供たちが、さんさんと陽が注ぐ芝生の公園で、頬張っている姿が目に浮かぶ。
さまざまなお弁当はレシピ付きで紹介されていますから、トライしてみる事も出来ます。「今日はね、タイ風にしてみたわ」とか、USAのランチボックスを気取ってみるとか・・・。著者の私物である「お弁当箱」のコレクション・ページがこれまたとても楽しい。なべオタクのけいママ、次回は海外でぜひお弁当箱もゲットするぞと固く決心しました。
また弁当にまつわるさまざまなエッセーや、旅行記も楽しめます。食文化が変化する中「今はもうお弁当の習慣がなくなってしまった・・・」と、ちょっと残念そうに語る韓国女性の話。かたや「弁当宅配人」が大活躍するインドの食事情など、たかがお弁当、されどお弁当。しっかりとそこから世界が覗けます。
後書きの著者自身が振り返るお弁当の想い出には、思わず涙してしまいました。どれほどの情熱と想いを込めて、彼女がこの一冊を世に送ったのかが感じられます。 もしもあなたがこの春からお弁当とかかわっていくのなら、ぜひ手に取ってみてください。
『世界のお弁当』
服部直美著
情報センター出版局
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