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2010年4月27日 (火)

永遠を閉じ込める、中田明写真展。

 3万年前の地層から発掘された化石か? 泰西名画の中でじっと息をひそめている静物か? いまPAXREXで開催中の「彩色菜図」展の野菜や花の作品を見た方々の印象です。
Photo_3  中田明さんは、一瞬を切り取る写真と言う技法で、永遠の時間を表現できないかと追及してきた写真作家だ。キヌサヤやニンニク、ニンジン、リンゴ・・・日頃見慣れた野菜が彼の手にかかると遥かな時を刻むオブジェに変身する。顔料でメイクを施したり、銅のサビをコスチュームに着せたりしながら、時の経過の中で植物が見せるもっとも美しい瞬間を、8×10の大判カメラで閉じ込めたポートレイト。
 時間を表現すると言っても、時間は目に見えない。耳で聞けない。ニオイもしない。芸術家はこの扱いにくい「時間」を表現しようと試行してきた。すぐに思い浮かぶのはサルバドール・ダリの「溶ける時計」。美術に比較してより「時間」を表現しやすい音楽や映画では、ジョン・ケージ作曲の「4分33秒」やゲイリー・クーパー主演の「真昼の決闘」が上手な取り上げ方でしょう。いずれも時間が持つ不思議に対する敬意が感じられます。
Photo_4  中田さんの表現では、銅や鉄に浮き出てくるサビや、しおれ朽ち果てていく過程の中に色濃く「時間」の観念が見えてくる。廃墟ブームにも通じる時間の捉え方かもしれません。8×10で撮影し密着で焼く、という今考えられる最高画質で描き出すマテリアル感が、長い時間の中の一瞬を極めてリアルに表現することに成功している。
 ファンタジックな作り物のように見えるほどに造形の工夫を凝らした野菜や花を、超リアルに定着させる中田流表現スタイル。在るものを在るがままに撮るだけでは写真は単なる記録技術だけれど、中田明の試みは写真をアートとして成立させる新しい可能性のひとつとなると思います。

ギャラリーPAXREX
中田明 写真展「彩色菜図」
4月24日(土)~5月23日(日)
11時~19時 水曜定休

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