心静かにヴェネツィア・カーニバル
どんよりと曇った空、足下から容赦なく上がってくる冷気。冬のヴェネツィアには、ほんの少しだけ観光客が少ない、静かな時期があるといいます。路地裏に入り込むと、そこにはタポタポと建物に当って砕ける水面のささやきしか無く、この町が辿って来た数奇な運命を、たとえ通りすがりの旅人であっても感じる事が出来る。
ところがこの町で開かれる年に一度の冬のお祭り『カーニバル』の時期には、いったいどれほどの観光客がこの町に押し寄せるのでしょうか。ホテルは超満員。さまざまな催しを求めて、人々が右往左往する。
「カーニバルの写真が撮りたい」と、マルコがこの町を訪れたのは夜明け前。やがて朝を迎えるヴェネツィアにて「眠らない夜」を過ごした人々が、グラス片手にほろ酔い気分で町を巡る時間帯。
マルコが撮ったヴェネツィアのモノトーンの背景に、仮装した人々を思い描いてみてくださいな。特別な日にふさわしい、そのあでやかな高価な衣装は、長い歴史の中にあっても少しも古びてしまうことは無く、今なおこの国に伝わる美意識の高さを存分に見せつける。
帽子から仮面、化粧、小物と細部に渡って計算され尽くしたその装い、だからこそ人々は夜を徹して、そんな我が身の仮装に酔いしれる。自信たっぷりにマルコのカメラの前に立つ。
ヴェネツィアという最高のシーンが用意されてこその「カーニバル」。それはイタリア人マルコにとっては、どんなお祭りなんでしょう?
日本人が愛して止まないこの水上都市は、心静かに物思う場所なのか、それとも観光客が押し寄せるワンダーランドのような場所なのか、まずは彼、マルコ・マイアンティに尋ねてみたい気がします。(写真撮影by マルコ・マイアンティ)
今回ご紹介したマルコの写真をご覧いただける、彼のサイトはこちらからどうぞ
http://www.gremetti.com/
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- モダニズムのその先は?(2022.06.20)
- モダニズム建築の成立(2022.06.17)
- 建築の歴史はアメ玉だ(2022.06.14)
- プッチーニ最後のオペラ(2019.11.21)
- F.L.ライトのディテール(2019.06.09)
「アート雑記」カテゴリの記事
- 海の未来はダイジョーブ?(2022.07.29)
- 絶景! 五色塚古墳(2022.06.11)
- おもしろキュビズム空間(2022.04.26)
- なぎさ公園アート散歩(2022.04.14)
- 神戸市庁舎の壁画アート(2020.09.01)
コメント